「何を聞けばいいのか分からないまま、見学の日が来てしまった」
「そもそも、本当のことを教えてもらえるんだろうか」
<悩める人>質問リストは作ったんですけど、これで足りているのか自信がなくて。



質問の数を増やしても、見学は失敗します。先に決めておくことが1つあります。
私は理学療法士として4回転職し、そのあと老健とデイサービスで見学と面接を受け入れる側にいました。
先に結論を書くと、見学先は2か所以上決めてから行ってください。
理由は、1か所しか見ないと、そのまま流れで決まってしまうからです。
ぜおん
理学療法士14年。不動産会社を経て理学療法士になり、総合病院・老健・介護系会社の4ヶ所で勤務。デイサービスの管理者、老健の主任、教育委員長、介護認定審査員を経験。求人を出す側、面接をする側、辞めていく職員と面談する側にいました。面談のためにメンタルヘルス・マネジメント検定2級と心理カウンセラーも取得しています。
自身の転職は4回、8ヶ所の転職エージェントに登録。リハビリ職・介護職の友人から10人ほどの転職相談を受けています。詳しい経歴はコチラ。
見学で落とされることはほぼありません
まずは、いちばん怖がられているところから。
受け入れる側にいた私の実感を書きます。
見学の対応だけで「この人はやめておこう」と思った人は、ひとりもいませんでした。



そうなんですか。もっとふるいにかけられていると思っていました。
むしろ逆。
しっかり話を聞いて、できるだけ採用する方向で見ていました。
老健やデイサービスはリハビリ職の人数が少なく、1人欠けると回らなくなります。来てくれた人は、まず採りたい前提で見ます。
だから、質問を遠慮する必要はありません。
むしろ困るのは、聞かれないことのほうでした。



「何か質問はありますか」と聞いて、何もない方が結構いました。何かしら持ってきてほしいというのが本音です。
見られているのは質問の中身ではありません
では、実際に見ていたのは何か。
包み隠さず書きます。
まず見ていたのは清潔感でした
身も蓋もない話ですが、外見は見ます。
といっても、顔立ちやスタイルの話ではありません。
- 清潔感があるかどうか
- 表情が暗すぎないか
この2つだけ。
年齢はまったく見ていませんでした。



リハビリ職は、利用者さんと毎日近い距離で接する仕事です。清潔感は、そのまま仕事の評価につながります。
答えるときの雰囲気で決まります
質問への回答は、中身をあまり見ていません。
見ているのは、答えるときの雰囲気のほうです。
ハキハキ答えられていれば、内容が整っていなくても問題ありません。逆に、話し方が聞き取りにくく何を言っているのか分からない状態だと、一緒にやっていくのはきついなと感じてしまいます。
だから準備すべきなのは、気の利いた質問ではありません。
聞きたいことを、自分の言葉ではっきり言えるようにしておくことです。
病院見学で聞く質問は5つで足ります
質問リストを12個も20個も用意する必要はありません。
その場で全部は聞けませんし、読み上げれば面接のような空気に変わります。
私が実際に働いてきた中で、入る前に知っておきたかったことを5つに絞りました。
- 記録はいつ書いていますか
- 計画書などの書類は、時間内に終わりますか
- みなし残業は何時間分、含まれていますか
- 新しく入った人には、誰がつきますか
- 他の職種との連携はどうですか
それぞれ、何が分かるのかを並べておきます。
| 聞くこと | 分かること | 濁されやすさ |
|---|---|---|
| 記録はいつ書いているか | 定時内に業務が収まる設計か | 低い |
| 書類は時間内に終わるか | 実際の残業の量 | 低い |
| みなし残業は何時間分か | 手取りが増える境目 | 低い |
| 新しい人には誰がつくか | 受け入れ体制が本当にあるか | 中くらい |
| 他職種との連携はどうか | 職場の人間関係 | 高い |
上の3つは事実を答えるだけなので、まず濁されません。
問題は、いちばん知りたい5つ目。



ここは後半で詳しく書きます。先に、聞きやすい上のほうから見ていきましょう。
1つ目は施設タイプで答えの重みが変わります
「記録はいつ書いていますか」の答えは、施設によって意味が違います。
- 病院/記録の時間は20分から30分あった。それでも終わらなかった
- 老健/記録がテンプレ寄りで、残業はほぼなかった
つまり時間が確保されているかどうかだけでは足りません。
その時間で本当に終わるのかまで、続けて聞いてください。
2つ目がいちばん効きます
リハビリ職は、記録だけでなく計画書をはじめ書くべき書類がたくさんあります。
私が病院にいたとき、記録の時間は20分から30分ほど確保されていました。
それでも終わりませんでした。



残業の量は本人の要領ではなく、書類の重さと時間の確保で決まります。ここを聞くと、その職場の1日が見えます。
残業の話はコチラの記事で詳しく書いています。


3つ目は聞きにくいですが金額に直結します
みなし残業の話。
あらかじめ一定時間分の残業代を、給料に含めておく仕組み。
私が最後にいた老健が、まさにこれでした。
そこを超えるまで、残業代はプラスになりません。契約書には書いてありましたが、求人票に書いてあったかどうかは覚えていません。
知らずに入ると、働いた分が増えていない感覚だけが残ります。
聞きにくければ、給料の話としてではなく残業の扱いとして聞いてください。
4つ目は教育体制の言い換えです
求人票の「教育体制あり」は、判断材料になりません。
何をどこまで書くかの基準が、施設ごとにバラバラだからです。
特別な研修プログラムは用意していませんでした。やっていたのは、最初に「何でも聞いてきてください」と伝えることと、輪に入れるようこちらから声をかけることだけです。制度より、聞いていい空気があるかどうかだと思っています。
だから聞くべきは制度の名前ではなく、誰がつくのかのほうです。
ただし人間関係の答えは濁されます
ここが、いちばん知りたいところだと思います。
5つ目の「他の職種との連携はどうですか」を聞かれたときの話。
受け入れる側にいた私は、この質問をされるとドキッとしていました。



え、どうしてですか。
主任だった私の施設は、多職種間の関係がいいとは言えなかったからです。
なんて答えようかと、こちらが困っていました。
嘘はつきませんが全部は言いません
ここは正直に。
人間関係については、完全に正直には答えていませんでした。
というより、言えなかった。
- 嘘はついていない
- ただしちょっと濁して言っていた
- 主任という立場で見えていたことは、全部は答えていない
そして、これは私の施設だけの話ではないと思っています。
ほとんどの施設が、同じようにしているはず。



案内する側も、その職場で働き続ける人間です。目の前の見学者に、内部の揉め事をそのまま話せる立場ではありません。
だからといって、聞かないほうがいいという話ではありません。
その質問は、したほうがいいと思っています。
すらすらと具体例が出てくるのか、言葉に詰まるのか。困った顔をするのか。答えの中身より、その反応のほうが正直です。
リハビリ職と看護師がぶつかる構造はコチラの記事にまとめました。


自分で聞けないところは代わりに聞いてもらえます
ここまで読んで、こう思ったはずです。



濁されると分かっているものを、どうやって確かめるんですか。
正直なところ、自分の口から聞き出すのは無理があります。



私も見学に行く側のときは、聞けませんでした。答える側に回ってからようやく、聞かれても困る質問があると知りました。
書類のことや残業のことも、面と向かって聞くのはたぶん聞きづらいはず。
その場合は、転職エージェントに代わりに聞いてもらうのが早いです。
間に入る相手は、同じ地域の施設をいくつも見ている立場。
紹介した人が続いているかどうかも、向こうは知っています。
登録すると、担当の方から電話がかかってきます。もう行き先が決まっている方は、登録しなくて大丈夫です。
\ 濁される部分を代わりに聞いてもらう /
※ PTOT人材バンクの公式サイトに移動します。登録すると担当の方から電話が来ます。
案内する人で聞ける中身が変わります
見学で誰が案内するかは、施設によって違います。
- 事務長/施設全体の案内
- 主任だった私か課長/リハ科についての説明と質問対応
私か課長が、見学から対応まで全部やることもありました。
ここで大事なのは、誰に何を聞くかです。
- 事務長にリハ科の1日の流れを聞いても、細かいところまでは分からない
- 新しく入った人の受け入れ方を決めているのは現場であって、人事ではない
だからリハビリの担当者と話せる時間を作ってもらってください。



見学の申し込みのときに「リハビリの方にもお話を伺えますか」と一言添えるだけで通ります。断られる理由がありません。
案内されている間の空気を見てください
質問の答えより、はっきり出るもの。
案内役ではないスタッフが、あなたに気づいて挨拶するかどうか。
ここは、ごまかしが利かない部分。



案内してくれた人は、すごく感じが良かったんですけど。
案内役が感じよくても、それはその人の性格かもしれません。
見たいのは職場のほうです。
私が新しい人に声をかけていた理由
受け入れる側にいたとき、意識してやっていたことがあります。
新しく入った人が輪に入れるよう、こちらから声をかけること。
自分が転職したとき、誰からも話しかけられませんでした。仲のいい人同士で固まっていて、見向きもされない。あれが嫌だったからです。
つまり声をかけるかどうかは、職場の姿勢で決まります。
そこに気を配っている職場は、見学者にも同じことをしてくれるはず。



逆に、案内役以外の誰とも目が合わない職場は、入ってからも同じ扱いになる可能性があります。
聞いてはいけない質問はほぼありません
見学の記事を読むと、たいてい出てくるNG質問のリスト。
給料のことを聞くな、残業のことを聞くな、というあれです。



それを読んでから、何も聞けなくなりました。
受け入れる側にいた立場から、はっきり書きます。
条件を確認すること自体を、悪く思ったことはありません。
むしろ困ったのは、質問が何もない方のほう。
気をつけるとしたら1つだけです
調べれば分かることを聞くと、会話はそこで浅くなる。
- 施設の種類やベッド数など、ホームページに書いてあること
- 求人票に金額が出ている基本給そのもの
印象が悪いから、ではありません。
限られた時間がもったいないからです。



見学で聞けるのは、調べても出てこないことだけです。そこに時間を使ってください。
見学のついでに面接と言われたら
ここで、私自身の失敗を書きます。
2社目のときの話。
最初は施設見学に行くだけの話でした。ところが2日前くらいに「ついでに面接もするので履歴書を持ってきてください」と言われ、よく分からないまま「わかりました」と答えました。そのまま面接になり、合格して、就職しました。
正直に言うと、他の施設も見たかったです。
その職場は、2年半から3年で退職。



断ったら、感じが悪いと思われませんか。
断って大丈夫です
受け入れる側にいたので、はっきり言えます。
あれは、相手の希望に合わせているだけです。
見学のついでに面接を受けたい人には、そうしていました。見学だけという希望なら、それに合わせていました。決めていたのは施設ではなく、来る側です。
つまり、見学だけにしたいなら、そう言えば通ります。



当時の私は、それを知りませんでした。押しつけられたのではなく、聞かれて流されただけだったんです。



でも、その場でうまく断れる自信がありません。
断り文句を自分で考えるのは、気が重いはず。
いちばん角が立たないのは、もう1か所の予定を先に持っておくことでした。
「もう1か所見てから決めたいので」と言えれば、それで終わります。
2か所目を自分で探すのがしんどいなら、リハビリ職専門の転職サービスに出してもらう方法があります。ただし登録すると担当の方から電話がかかってきます。すでに行き先が決まっている方は、登録しなくて大丈夫です。
\ 比べるための2か所目を出してもらう /
※ PTOT人材バンクの公式サイトに移動します。登録すると担当の方から電話が来ます。
だから見学先は2か所以上決めてから行く
ここまでの話を1つに。
見学先を最初に2か所、できれば3か所決めてしまってください。
理由は2つ。
- 比べる材料がないと、答えが濁されているかどうかも分からない
- その場で決めなくて済むので、流れのまま入職することがない
効いてくるのは1つ目のほう。
1か所しか見ていないと、その濁し方が普通なのかどうかが判断できません。



2か所目で同じ質問をすると、答え方の違いがはっきり出ます。1か所目の言葉が、そこで初めて意味を持ちます。
条件面だけは最後に書面で確認できます
ここまで濁されるという話ばかりでしたが、条件面だけは最後に文書で示されます。
厚生労働省は、すべての労働者に対して労働契約の締結のタイミングで就業場所・業務の変更の範囲を明示することを、新しい明示事項として示しています。
出典:厚生労働省「2024年4月からの備えは大丈夫ですか」より(2026年9月確認)
リハビリ職なら、送迎に入るのか、他の部署に移る可能性があるのかがここに関わります。
みなし残業の時間数も、この書面に出てくる項目。
だから条件面は、書面が出てきた段階でもう一度読み直してください。見学で濁されたところほど、ここで確かめる価値があります。
ただし人間関係は、書面に出てきません。



そこだけは、あとから確かめる方法がありません。2か所を比べるしかないのは、この一点のためです。
理学療法士の病院見学についてよくある質問
病院見学では何個くらい質問を用意すればいいですか?
5つで足ります。数より、自分の言葉ではっきり聞けるかどうかのほうが見られています。リストを読み上げると面接のようになるので、覚えられる数に絞ってください。
給料や残業について聞くと印象が悪くなりませんか?
受け入れる側にいた立場から言うと、条件を確認すること自体を悪く思ったことはありません。むしろ質問が何もない方のほうが困りました。聞き方を「記録はいつ書いていますか」のように業務の話にすると、さらに自然です。
見学の対応で落とされることはありますか?
私が受け入れていた範囲では、見学の対応だけでやめておこうと思った人はいませんでした。人数の少ない職場ほど、できるだけ採用する方向で見ています。
見学のついでに面接と言われたら断れますか?
断れます。私の施設では相手の希望に合わせていて、見学だけという方にはそうしていました。もう1か所の予定を先に入れておくと、その場で角を立てずに済みます。
見学で聞いた話は信じていいですか?
業務の内容や1日の流れは、そのまま受け取って大丈夫です。ただし人間関係については、私自身が濁して答えていました。嘘ではありませんが全部は言っていないので、2か所以上見て比べてください。
服装は何を着ていけばいいですか?
指定がなければスーツで問題ありません。見ているのは服の種類より清潔感のほうです。髪型や靴も含めて、整っていれば十分です。
まとめ|質問リストより先に2か所目を決めてください
見学に行く側と、受け入れる側の両方をやって思うこと。
見学の成否は、当日ではなく予定の組み方で決まります。
- 見学の対応だけで落とされることはほぼない
- 見られているのは質問の中身ではなく清潔感と答え方
- 質問は5つで足りる。2つ目の書類の話がいちばん効く
- 人間関係の答えは濁される。受け入れる側だった私がそうしていた
- リハ科のことは人事ではなく現場の担当者に聞く
- ついでに面接は断れる。相手の希望に合わせているだけ
もし今日ひとつだけやるとしたら、2か所目の見学先を探すことだと思います。
1か所目の質問リストを増やすより、はるかに効くはずです。



私は1か所しか見ずに決めて、その職場を3年ほどで辞めました。比べる相手がいれば、違う選び方をしていたと思います。
ブランクがある方の面接での答え方はコチラの記事に書きました。


とはいえ、2か所目の当てがない方も多いはずです。
自分で求人を探し直すところから始めると、そこで止まります。
候補だけ出してもらう、という使い方も。
私が実際に入職したときのことはコチラの記事にまとめています。


\ 比べるための2か所目を出してもらう /
※ PTOT人材バンクの公式サイトに移動します。登録すると担当の方から電話が来ます。
※ 掲載内容は2026年9月時点の情報です。









