出勤しても、今日は誰と動けばいいのか決まっていない。
聞きたいことがあるのに、周りは全員走り回っている。
気がつくと、利用者さんの前に自分ひとりで立っている。
<悩める人>未経験で入ったのに、ほとんど教えてもらえません。これって普通なんでしょうか…?



普通ではありません。ただ、どこまで放置されているかによって、やることが変わってきます。
この記事では、介護職の新人が放置される問題を、デイサービスで新人を受け入れ、教える側にいた立場から書きます。
結論から言うと、まずは自分がどのレベルの放置に当たるのかを分けるところから始めてください。
教育体制や新人の受け入れ方は求人票に出ないため、他の職場と比べたいときは、介護職の求人を扱うレバウェル介護のような相談先で、先に内情を聞いておくと比べやすくなります。
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結論:まず、どこまで放置されているかを分ける
「放置されている」という言葉には、実はかなり幅があります。
忙しい時間帯だけ一人になるのと、入職してから誰も教えてくれないのとでは、まったく別の話です。
同じ「放置」でも、対処の仕方は変わります。まずは自分がどこにいるのかを確認するところから
正直にお伝えすると、新人につきっきりで教える余裕がない施設は、一定数あります。
私自身、教える側にいながらそこまで手が回らなかった時期があります。
ただし、これは「だから我慢してください」という話ではありません。
何も分からない人を一人にするのは、本来やってはいけないことです。
放置は程度によって意味が変わります。まず自分の状況を分けてから、動き方を決めてください。
介護職の新人放置は3つのレベルに分けられる


先にお断りしておくと、これから書く3つのレベルは一般的に決まっている分類ではありません。
私がデイサービスで新人を受け入れてきた中で、こう分けると判断しやすいと感じてきた区切りです。
教える側と教わる側の両方を見てきた中で、同じ「放置」でもここが違うと感じた3つです
自分がどこに当てはまるかを見ながら読んでみてください。
レベル1:忙しい時間帯だけ、一人になることがある
入浴や食事など、人手が一気に要る時間があります。
そこで教えてくれていた職員が離れ、気づいたら自分だけになっているという状態です。
基本的には教える人がいて、その日にやることも決まっている。
これは、多くの施設で起こりうる範囲です。理想ではありませんが、体制そのものが壊れているわけではありません
ただし、移乗や入浴など事故につながる業務を一人で任されるなら、それはレベル1ではありません。
そこは分けて考えてください。
レベル2:教える人が決まっていない
実は、いちばん多いのがここだと思っています。
日によって組む相手が変わり、人によって言うことが違う。
聞けば教えてはもらえるけれど、順番も計画もない状態です。
- Aさんに教わったやり方を、Bさんに違うと言われる
- 同じことを二度聞けず、分からないまま進んでしまう
- どこまで自分でやっていいのか、誰も決めてくれない
これは新人の理解力の問題ではなく、受け入れる側の準備が足りていない状態です。
後半で書きますが、このレベルは自分の動き方で少し変えられます。
レベル3:入職してから、ほとんど誰も教えない
初日から現場に入れられ、質問しても返ってこない。
手順書もなく、見て覚えろとだけ言われる。
ここまで来ると、施設の忙しさでは説明がつきません。
何も分からない人をそのまま現場に立たせることは、利用者さんの安全という意味でも問題があります。
もしここに当てはまるなら、自分の頑張りでどうにかする話ではないと考えてください。
3つのレベルを表で確認する
ここまでを一覧にしました。
| レベル | どんな状態か | どう考えるか |
|---|---|---|
| レベル1 | 教える人はいるが、忙しい時間だけ一人になる | 起こりうる範囲。危険な業務を任されるかどうかで見る |
| レベル2 | 教える人が決まっておらず、人によって言うことが違う | 受け入れる側の準備不足。自分の動き方で少し変えられる |
| レベル3 | 入職してからほとんど誰も教えない。聞いても返らない | 忙しさでは説明がつかない。職場を見直す段階 |
ここを分けておくと、この先の判断がぶれにくくなります。
そして、どのレベルであっても、あなたの覚えが悪いという話ではありません。
私の分け方では、レベル1は起こりうる範囲、レベル2は準備不足、レベル3は職場を見直す段階です。まず自分の位置を決めてください。
研修の機会をつくるのは職場に決められた義務


ここは短くお伝えします。
新人に教えるかどうかは、職場の親切心の問題だと思われがちです。
ですが実際は、介護サービスの運営基準に、はっきり書かれています。
- 事業者は、職員の資質の向上のために研修の機会を確保しなければならない(デイサービスなら指定居宅サービス等基準の第101条、特別養護老人ホームなら第24条)
- 介護福祉士などの資格を持たない職員には、認知症介護に係る基礎的な研修を受講させるために必要な措置を講じなければならない
- この研修は経過措置が2024年3月末で終わり、努力目標ではなく決められたことになった
出典は指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準と、指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準です。
研修そのものの内容は、厚生労働省の認知症施策のページで確認できます。



でも、それを職場で言えたら苦労しないです…



そうですよね。だからこれは、言うために覚えるものではないと思ってください。
入って数か月の新人が、上司に「これは決まりですよね」と切り出すのは、現実的ではありません。
言った瞬間に空気が悪くなることも、正直あります。
知っておいてほしいのは、今の状態が当たり前ではないと判断するためです。武器として使うためではありません。
「教えてもらえないのは自分のせいかも」と思い始めている人ほど、ここは押さえておいてください。
次からは、言い出せない状態のままでもできることを書いていきます。
研修の機会をつくるのは事業者側に決められたことです。ただし新人がそれを口に出すのは難しいので、判断材料として持っておいてください。
言い出せなくても、明日からできること


この手の記事には、たいてい「上司に相談しましょう」と書いてあります。
でも、それが言えたら困っていないですよね。
ここでは、相談という形を取らなくてもできることから並べます。
聞く相手を、自分で1人決める
教える人が決まっていない職場なら、自分の側で勝手に決めてしまうのが早いです。
全員に少しずつ聞くと、人によって答えが違って余計に混乱します。
- 質問したときに、嫌な顔をしなかった人
- 自分と勤務が重なることが多い人
- 経験年数が近い人(ベテランより聞きやすいことが多い)
教える側にいた立場から言うと、誰に聞いているか分からない新人より、聞く相手が決まっている新人のほうが動きやすいです。
周りも「あの人が見ているんだな」と分かるので、二重に指示が飛ぶことも減ります。
その場で聞かず、ためてまとめて聞く
分からないことをその場で聞くと、相手の手が止まります。
それが続くと、忙しい時間ほど聞きにくい空気ができてしまうんです。
だから、その場ではメモだけ取っておきます。
そして落ち着いた時間に「今3つだけ聞いてもいいですか」と、先に数を伝える
数が分かると、相手は答える時間を計算できます。
終わりが見えない質問より、はるかに受けてもらいやすくなります。
「分かりません」ではなく、確認の形で聞く
同じ質問でも、聞き方で相手の負担がまったく変わります。
| 言い方 | 相手が受け取るもの |
|---|---|
| 「移乗のやり方が分かりません」 | 最初から全部教えないといけない |
| 「移乗は声をかけてから足を寄せる順でいいですか」 | 合っているかを答えるだけでいい |
| 「お風呂どうすればいいですか」 | 何をどこから話すか考える必要がある |
| 「入浴の前に確認する項目を教えてください」 | 答える範囲が決まっている |
自分なりの答えを持って聞くと、相手は「合っています」か「そこは違う」で済みます。
忙しい職場ほど、この差はとても大きいです。
自分なりの答えを添えるだけで、相手が使う時間はぐっと短くなります
間違っていても構いません。
考えた形跡があること自体が伝わります。
教わったことを、その日のうちに書き出す
人によって言うことが違う職場では、記録が効きます。
「Aさんはこう、Bさんはこう」と並べて書いておくと、どこがぶれているのかが見えてきます。
そのうえで、決めてもらいたいところだけを聞けば話が早いです。
- 教わった手順と、教えてくれた人の名前
- やり方が分かれた項目と、その違い
- まだ一度も教わっていない業務
3つ目は特に大事です。
教わっていない業務を任されたとき、断る材料になります。
どうしても言うなら、1点だけお願いする
それでも上に伝えたいときは、相談ではなくお願いの形にしてください。
「教えてもらえなくて困っています」だと、受け取る側は責められたと感じます。
「早く覚えたいので、聞く相手を1人決めてもらえませんか」のように、要望を1つに絞ると通りやすくなります。
全部を変えてほしいと伝えると、たいてい「考えておく」で終わってしまいます。
教える側の負担を増やさない言い方のほうが、結果的に自分に返ってきます。
聞く相手を決める、ためてまとめて聞く、確認の形にする、書き出す。この4つは相談しなくても今日から始められます。
厳しい話ですが、自分の側で見直せることもある
ここは、書くかどうか迷いました。
読んでいて、あまり気持ちのいい話ではないと思うからです。
ただ、教える側にいたから見えたことなので、正直に書きます。
先に言っておきます。ここから書くことは、放置していい理由にはなりません。教えないことを正当化する話ではありません
そのうえで読んでもらえたらと思います。
教える側も、結局は人間です
本来なら、誰に対しても同じように教えるべきです。
でも実際は、この人には時間を作ってでも教えたいと思われる新人がいます。
忙しくても、自分の休憩を削ってまで教えてくれる先輩は確かにいるんです。
本来なら教える側が態度を選ぶべきではありません。それでも、現実にはここに差が出ます
逆に、距離を置かれてしまうと、教えてもらえたはずのことまで流れていきます。



それって、結局ゴマをすれということですか…?



違います。好かれる必要はまったくありません。ただ、最低限の振る舞いだけの話です。
実際に、こういう新人がいました
私が教える立場だったとき、こういう方に何人か出会いました。
- 声をかけても返事が返ってこない
- 教えても、ありがとうの一言がない
- 教えてもらって当たり前、という空気が出ている
私はそれで教えるのをやめたことはありません。
ただ、人によっては、教えたい気持ちが続かなくなるのも分かります。
そしてそれが、結果として放置につながる場合もあると思っています。
繰り返しますが、それでも教えないという選択は、教える側が間違っています。ここは変わりません。
好かれなくていい。でも振る舞いは自分で選べる
職場の人と仲良くなる必要はありません。
飲み会に出る必要も、無理に話を合わせる必要もないです。
仲良くなることと、最低限の振る舞いをすることは、まったく別のものです
ただ、返事をする、お礼を言う、メモを取る。
この3つは、誰に対してもできることで、しかも自分でコントロールできる部分です。
| 自分で選べること | 相手に伝わること |
|---|---|
| 呼ばれたら返事をする | 聞こえている、受け取っている |
| 教わったらお礼を言う | 時間を使ってもらった自覚がある |
| 目の前でメモを取る | もう一度聞く回数が減りそうだ |
| 次に会ったとき「あれ、やってみました」と伝える | 教えた意味があった |
最後の一行は、特に効きます。
教えたことが使われたと分かると、もっと教えたくなるのが人の心理だからです。
ここまで読んで苦しくなった人へ
読みながら「自分のことかもしれない」と苦しくなった方もいると思います。
でも、心当たりがないなら、この章はきれいに忘れてください。
返事もお礼もきちんとしていて、それでも教えてもらえない職場は実際にあります。
そこまでやって変わらないなら、それはもう、あなたではなく職場の側の問題です
次の章で、その見分け方を書きます。
好かれる必要はありません。返事・お礼・メモの3つだけ確認して、心当たりがなければ気にしなくて大丈夫です。
変わらないなら職場の体制の問題!


ここまでやっても状況が動かないことがあります。
そのときは、個人の努力で埋められる範囲を超えていると考えてください。
新人を育てる風習そのものがない職場がある
人手が足りない、という以前の問題として、育てるという発想が職場に無いことがあります。
入ってきては辞めていくのが前提になっていて、誰も驚かなくなっている状態です。
- 教育担当が誰なのか、聞いても答えが出てこない
- 手順書やマニュアルが、どこにもない
- 自分より前に入った新人が、短期間で辞めている
- 「昔からこうだから」で説明が終わる
3つ以上当てはまるなら、数か月待っても同じ景色のままである可能性が高いです。
先輩たちが忙しすぎて教えられない事情については、コチラの記事で教える側の視点からまとめています。


長くいるほど、あなたが損をしていく
ここがいちばんお伝えしたいところです。
放置されたまま時間が経つと、教わっていないのに年数だけが増えていきます。
そうなると、職場での立場が変わります。
「もう1年目じゃないよね」と言われる側になり、今度は聞くこと自体が難しくなります
さらに、次の職場に移るときも影響が出ます。
経験年数が書かれていると、受け入れる側は当然できるものとして扱います。
一から教えてもらえるのは、未経験として入るときだけなんです。



放置されたまま続けると、教われる期間そのものが減ってしまうんですね…



そうなんです。だから、我慢して残るほど得をするとは限らないんですよ。
きちんと育てている職場は、ちゃんとあります
ここは強く言っておきたいところです。
人が集まりにくい時代なので、新人教育にきちんと人と時間を割く事業所は増えてきました。
研修を受けられる機会があることを、採用や定着の強みとして打ち出している事業所も実際にあります(介護労働安定センター 介護労働実態調査)。
| 次の職場で確認したいこと | 聞き方の例 |
|---|---|
| 教育担当が決まっているか | 「入職後は、どなたに教わる形になりますか」 |
| 独り立ちまでの期間の目安 | 「一人で入るまで、だいたいどのくらいですか」 |
| 手順書やマニュアルの有無 | 「手順をまとめたものはありますか」 |
| 無資格の場合の研修の扱い | 「認知症介護の基礎研修は、勤務時間内に受けられますか」 |
いちばん下は、答え方で職場の姿勢がよく出ます。
すぐに答えが返ってくる職場は、新人を受け入れる準備ができているということです。
ただ、こうした中身は求人票には書かれていません。
いますぐ辞める必要はありません。他の職場の受け入れ方を聞いて、比べてみるところからで十分です。
無料で使えるので、レバウェル介護のような相談先で、教育体制を先に聞いておくと判断材料が増えます。
連絡の取り方も、希望する方法を最初に相談できます。
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相談先そのものを比べてから決めたい方は、コチラの記事で介護の転職サービスを6社まとめています。


なお、労働条件そのものに不安があるときは、厚生労働省の相談窓口も使えます。
教育体制は求人票に出ません。教育担当・独り立ちまでの期間・手順書・研修の扱いの4つを確認ポイントにしてください。
介護職の新人放置についてよくある質問
介護の新人は、どのくらいで独り立ちするのが普通ですか?
施設の種類や本人の経験によって幅がありますが、半年から1年ほどをかけて段階的に任せていく職場が多いようです。
ただ、期間そのものより、教える順番が決まっているかどうかを見たほうが確かです。
教わっていない業務を任されたら、断ってもいいですか?
断って構いません。特に移乗や入浴など、事故につながる業務は無理に一人で受けないでください。
断るというより「まだ教わっていないので、今回だけ一緒に入ってもらえますか」と伝えると角が立ちにくいです。
同じことを何度も聞くのは迷惑でしょうか?
メモを取ったうえでの2回目なら、気にしなくて大丈夫です。
そのときは確認の形にして、「この順番で合っていますか」と聞くと相手の負担も減ります。
放置されるのは、自分の覚えが悪いからでしょうか?
教える人が決まっていない職場では、誰が入っても同じことが起きます。
まずは3つのレベルで自分の状況を分けてから考えてみてください。
入職して何か月で見切りをつけるべきですか?
期間では決めないほうがいいです。教育担当・手順書・前の新人の定着といった中身で判断してください。
ミスが続いてつらい気持ちが強いときは、コチラの記事もあわせて読んでみてください。
まとめ:放置されている状態を普通だと思わなくていい
教えてもらえないのは、あなたの覚えが悪いからではありません。
忙しい時間に一人になることまで、なくすことはできません。
それでも、何も分からない人を現場に置き去りにしていい理由にはならないんです。
そして、教わっていないことを任されたときは、その場で一緒に入ってもらうようお願いして構いません。
明日はまず、聞く相手を1人だけ決めてみてください。
それでも景色が変わらないなら、きちんと育ててくれる職場を見ておくところから始めれば十分です。
介護の仕事が向いていないのではなく、最初に入った場所の受け入れ方が合わなかっただけ、ということは本当によくあります
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未経験から施設のタイプを選び直したい方は、コチラの記事で夜勤のある施設の違いをまとめています。











