今日も家で、委員会の資料を作っている。
会議は勤務が終わってから。手当はついていない。
しかも、自分から手を挙げたわけではない。
<悩める人>委員長なんて聞いていなかったのに、いつの間にか決まっていました…



よくある話です。しかもその委員会、法令のどこにも書かれていないものかもしれません。
この記事では、介護職の委員会がしんどい理由を、老健で教育委員会の委員長をしていた立場から書きます。
結論から言うと、しんどさの正体は委員会そのものではなく、それが無給を前提に回っていることにあります。
委員会の数や時間外の扱いは求人票に出ないため、他の職場と比べたいときは、介護職の求人を扱うレバウェル介護のような相談先で、先に内情を聞いておくと比べやすくなります。
\ 委員会の数と時間外の扱いを完全無料で相談 /
ぜおん
理学療法士14年。不動産会社を経て理学療法士になり、総合病院・老健・介護系会社の4ヶ所で勤務。デイサービスの管理者、老健の主任、教育委員長、介護認定審査員を経験。求人を出す側、面接をする側、辞めていく職員と面談する側にいました。面談のためにメンタルヘルス・マネジメント検定2級と心理カウンセラーも取得しています。
自身の転職は4回、8ヶ所の転職エージェントに登録。リハビリ職・介護職の友人から10人ほどの転職相談を受けています。詳しい経歴はコチラ。
結論:しんどさの正体は委員会そのものではない
先に、いちばん伝えたいことを書きます。
委員会がしんどいのは、話し合いの中身が難しいからではありません。
勤務時間の外に置かれ、手当もつかない状態で回っているからです
- 会議が終業後に組まれている
- 資料や議事録は家で作っている
- それでも残業として申請できない
この状態が続けば、内容がどれだけ立派でも、しんどいのは当たり前です。
そして、そのしんどさを口に出しにくくしているものが、もうひとつあります。
同じ職場に、それを当たり前にこなしてしまう熱心な人がいることです。
問題は委員会の中身ではなく、無給の時間外で回っていることです。そこを分けて考えると見え方が変わります。
やる気のある人ほど、職場の基準を上げてしまう


ここが、この記事でいちばん書きたかったところです。
ただ、誤解されやすい話なので先に言っておきます。
熱心にやっている人が悪い、という話ではありません。悪いのは、それを前提にして回している側です
熱心な人は、無給でも当たり前にやってしまう
正直に書くと、私自身がその側にいました。
老健で教育委員会の委員長をしていたとき、勉強会はすべて時間外で、残業代も出ていませんでした。
それでも当時は、やりがいがあったのであまり気になりませんでした。
自分で決めた勉強会だから、自分の時間を使うのは当然だと思っていました。
ただ、今になって思うのは、本来なら残業代をもらって然るべきものだったということです。
- 勉強会の企画と資料づくり(勤務時間の外)
- 委員会の会議そのものが終業後(これは珍しくありません)
- それに対する手当や残業代はなし
その姿が「これくらいは普通」の基準になる
問題は、ここから先です。
誰かが無給で回してしまうと、職場はそれをできるものとして扱い始めます。
時間外にやることも、資料を家で作ることも、前提に組み込まれていきます。
そして次の担当者に、同じ条件のまま引き継がれます。「前の人はやっていたよ」という一言と一緒に。
本来なら見直されるはずの運び方が、誰かの頑張りで見えなくなってしまうんです。
だから普通の人が、熱心な人を迷惑に感じてしまう
これが、いちばんつらい構図だと思っています。
熱心にやる人は、職場をよくしたいと思ってやっています。
それなのに、周りからはハードルを上げる人として見られてしまう。



あの人が頑張るせいで、こっちまで求められる…って思ってしまう自分が嫌になります



その気持ちは自然なものですよ。ただ、向ける先は本当はその人ではないんです。
職員同士がお互いを責め合う形になってしまうのが、この仕組みのいちばん困るところです。
管理する側から見ても、ここは難しい
この話は、割り振る側から見ても答えが出にくいところです。
熱心にやってくれる人を止めるのも、それはそれでおかしな話になります。
でも、そのままにしておくと職場の当たり前がじりじり上がっていきます。
本当に必要なのは、熱心な人を止めることではなく、その時間を勤務として扱うことです
ここに手をつけない職場では、担当者が変わっても同じことが繰り返されます。
誰かの善意で無給の時間外が回ると、それが職場の標準になります。責めるべき相手は、熱心な人ではありません。
法令で決まっている委員会は数が限られている


委員会というと、どれも施設に義務づけられたものだと思ってしまいます。
でも実際は、法令に書かれている委員会は数が決まっています。
老健や特養で決められているもの
まず、入所の施設から見ていきます。
| 委員会 | 開催の頻度 |
|---|---|
| 身体的拘束等の適正化のための対策を検討する委員会 | 3か月に1回以上 |
| 感染症および食中毒の予防・まん延防止の対策を検討する委員会 | おおむね3か月に1回以上 |
| 事故発生の防止のための委員会 | 定期的に |
| 虐待の防止のための対策を検討する委員会 | 定期的に |
| 業務の効率化や職員の負担軽減を検討する委員会 | 2027年3月末までは努力義務 |
出典は介護老人保健施設の運営基準です。
特別養護老人ホームにも、同じような規定が置かれています。
デイサービスはもっと少ない
通所系になると、決められている委員会はさらに絞られます。
デイサービスの場合、感染症の予防やまん延防止の委員会はおおむね6か月に1回以上とされています。
同じ介護の仕事でも、働く場所によって委員会の数と頻度は変わります。今の職場が特別に多いという可能性もあります。
出典は指定居宅サービス等の運営基準の第104条です。
あなたの委員会は、この中にありますか
ここで一度、自分が入っている委員会の名前を思い出してみてください。
知識向上委員会、レクリエーション委員会、行事委員会、広報委員会。
こうした名前のものは、法令のどこにも出てきません。
法令にないから無駄、という話ではありません。多くは施設をよくしたいという思いから作られています。
ただ、法令にないということは、やり方を決めているのは施設自身だということです。
「決まりだから仕方ない」で終わる話ではありません。
開催の回数まで決まっている
もうひとつ知っておいてほしいのが、頻度です。
法令が求めているのは3か月に1回以上、あるいは6か月に1回以上という水準です。
毎月びっしり会議が入っているなら、その回数は施設が決めたものです。
条文には、テレビ電話などを使って開いてよいとも書かれています。全員が集まる必要すらありません



知らなかったです…でも、それを職場で言えるかというと難しいです



そうですよね。これは言うためではなく、今の状態を測るために持っておいてください。
法令にある委員会は数も頻度も限られています。それ以外の委員会と回数は、施設が自分で決めたものです。
委員会を割り振る側で起きていること


「なぜ自分だったのか」は、多くの人が引っかかるところだと思います。
ここからは、委員会を回していた側で見えていたことを書きます。
若手に委員長を任せたがる理由
施設で働いていると気づくことですが、職員の年齢層はかなり上に寄っています。
50代や60代の方が中心という職場は、最近はとくに珍しくありません。
そして、そうした方が話し合いを引っ張る役をするのは、簡単ではない場面もあります。
資料をパソコンで作る作業も、慣れていない方には大きな負担になります。
だから施設長や事務長は「若い人のほうが考えて引っ張ってくれる」と思い、若手に任せたがります
言い方を変えると、期待の裏返しで回ってきていることが多いです。
それでも、期待は伝わらない
ただ、ここが問題なんです。
期待しているなら、そう伝えたうえで引き受けるかどうかを聞いてほしいところです。
ところが実際は、気づいたら委員長になっていたという人が本当にいました。



期待って言われても、こっちは負担が増えただけなんですけど…



そう感じて当然です。伝えていない期待は、受ける側にとってはただの押しつけですから。
期待している側は、それだけで気持ちが伝わっていると思い込みがちです。
ここは采配する側が気をつけなければいけないところだと、今でも思っています。
委員会が多いのは、全員をどこかに入れるため
もうひとつ、委員会の数が多い理由についてです。
職場によっては、職員全員がどれかの委員会に入る決まりになっています。
私が以前いた施設もそうでした。
職員が30人いれば、30人分の居場所を用意しなければならなくなります
この決まりがあると、委員会の数を減らせなくなります。
- 自分から手を挙げる人が複数の委員会を掛け持ちする
- その委員会だけが盛り上がる
- 一方で、どこにも入らない人が出てくる
- 関わる人と関わらない人で、職場への気持ちが両極端になる
だから、全員に居場所を作るために委員会を増やしている面もあります。
意図としては分からなくもありません。
悪意でやっているわけではない、けれど
法令にない委員会を作るのも、たいていは施設をよくしたいという思いからです。
誰かを困らせようとして増やしているわけではありません。
ただ、思いがどれだけ良くても、職員の1日は24時間のままです。増やした分の時間はどこかから持ってくることになります。
そして、その持ってくる先が職員の勤務時間の外になっているのが、今の問題です。
委員長が回ってくるのは期待の裏返しですが、伝えずに任せれば押しつけです。数が多いのは全員参加の決まりが理由のこともあります。
委員会のしんどさを軽くするためにできること
「勤務時間内にやらせてほしいと交渉しましょう」と書かれた記事をよく見ます。
ただ、入って数年の職員がそれを言うのは、現実にはかなり難しいと思います。
なので、交渉しなくてもできることから並べます。
かかった時間を、自分用に記録する
まずは、委員会に使っている時間を書き出してみてください。
会議が何分、資料づくりが何時間、家でやった分がどれくらいか。
- 労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のこと
- はっきりした指示だけでなく、黙示の指示による場合も含まれる
- 参加が業務上義務づけられている研修の受講時間も労働時間にあたる
- 自主的なものとして扱われていても、実際に指揮命令下にあったと認められる時間は労働時間として扱う
厚生労働省の労働時間の適正な把握のためのガイドラインに書かれている内容です。
これも請求のためではなく、自分がどれだけ持ち出しているかを知るために使ってください。
資料をゼロから作ろうとしない
持ち帰りの多くは、資料づくりから生まれています。
ここは思い切って手を抜いていいところです。
委員会の資料は、去年のものを土台にして数字と日付を差し替えれば足りることがほとんどです
前年度のファイルがどこにあるかを、まず先輩に聞いてみてください。
一から作っている人ほど、持ち帰りの時間が長くなっています。
引き受けるときに、範囲を先に決める
これは次に頼まれたときのための話です。
「やります」と答える前に、どこまでやるのかを確認しておくと後が楽になります。
| 受ける前に聞くこと | 聞き方の例 |
|---|---|
| 会議は年に何回あるか | 「年間だと何回くらい集まりますか」 |
| 会議は勤務時間内か外か | 「会議は勤務の中に入れてもらえますか」 |
| 資料づくりの時間はどう扱うか | 「資料は勤務中に作っていいですか」 |
| 前任者の資料が残っているか | 「去年の資料は見せてもらえますか」 |
一度その条件で受けると、翌年も同じ形で回ってきます。
最初に決めておくことが、いちばん効きます。
断るときは、理由ではなく代案を出す
全部を断ろうとすると、角が立ちます。
受ける側からすると、範囲を狭めるほうが通りやすいです。
「できません」ではなく「委員としては入りますが、委員長は難しいです」のように、引き受けられる部分を先に出します。
頼む側は「誰かに埋めてほしい」だけのことも多いので、これで収まる場合があります。
実際に私も、委員長を断られて委員として入ってもらった経験が何度もあります。
役職そのものの重さで悩んでいる方は、コチラの記事で主任を打診されたときの確認項目をまとめています。


時間を記録する、資料は去年のものを使う、受ける前に範囲を決める。この3つは交渉しなくても今日から始められます。
それでも変わらないなら職場の考え方の問題


ここまでのことをやっても、動かない職場はあります。
そのときは、個人の工夫で埋められる範囲を超えていると考えてください。
委員会の扱いに、その職場の考え方が出る
委員会をどう扱うかは、職場によって驚くほど違います。
会議を勤務時間の中に組み込んでいるところは、実際にあります。
- 会議の時間をシフトに入れている
- 時間外になった分は残業として申請できる
- 委員会の数を法令に沿った範囲まで絞っている
- 委員長を任せるときに、本人の意思を先に確認している
同じ介護の仕事で、ここまで扱いに差が出ます。
変わらない職場で起きていくこと
無給の時間外を前提にしたまま続くと、順番はだいたい決まっています。
まず、いちばん熱心にやっていた人が静かに離れます。
その穴を埋めるために、残った人へ役が回ります。
引き継ぎも十分にされないまま、また一から資料を作り直すことになります。
施設をよくするために作った委員会が、職員を消耗させる仕組みになっていく
そして、形だけ残って中身がなくなります。
役職そのものの重さで限界を感じている方は、コチラの記事もあわせて読んでみてください。


次の職場では、ここを聞いておく
委員会の運び方は、求人票にはまず書かれていません。
見学や面接でも聞きにくいところなので、先に確認しておくのがおすすめです。
| 確認したいこと | この質問で分かること |
|---|---|
| 委員会はいくつありますか | 法令の範囲か、独自に増やしているか |
| 会議は勤務時間の中ですか | 職員の時間をどう考えているか |
| 資料づくりは勤務中にできますか | 持ち帰りが前提になっていないか |
| 全員がどれかに入る決まりはありますか | 委員会の数が増える構造があるか |
答え方そのものにも、その職場の姿勢が出ます。
いますぐ辞める必要はありません。他の職場の運び方を聞いて、比べてみるところからで十分です。
無料で使えるので、レバウェル介護のような相談先で、委員会や会議の扱いを先に聞いておくと判断材料が増えます。
\ 会議と資料づくりの扱いを完全無料で確認 /
相談先そのものを比べたい方は、コチラの記事で介護の転職サービスを6社まとめています。


委員会の運び方は求人票に出ません。数・会議の時間帯・資料づくりの扱い・全員参加の決まりを確認ポイントにしてください。
介護職の委員会についてよくある質問
委員会は断ってもいいですか?
断って構いません。ただし全部を断るより、引き受けられる範囲を先に出すほうが通りやすいです。
言い方の例は断るときは理由ではなく代案を出すにまとめています。
時間外の委員会に手当が出ないのは普通ですか?
珍しくはありませんが、当たり前ではありません。参加が業務上義務づけられている場合、その時間は労働時間として扱うこととされています。
職場の外に相談したいときは、厚生労働省の労働条件の相談窓口が使えます。
委員会は法律でいくつやらないといけないのですか?
サービスの種類によって違います。老健や特養では身体拘束の適正化・感染症の予防・事故発生の防止・虐待の防止に関する委員会が定められています。
デイサービスはさらに少なく、詳しくは法令で決まっている委員会で表にしています。
なぜ若手ばかりが委員長にされるのですか?
職員の年齢層が上に寄っている職場では、話し合いを引っ張る役を若い人に期待する傾向があります。
ただし期待を伝えずに任せれば、受ける側にとってはただの押しつけです。詳しくは若手に委員長を任せたがる理由で書いています。
委員会が多い職場は避けたほうがいいですか?
数そのものより、扱い方で見てください。会議が勤務時間の中にあるか、資料づくりを持ち帰らずに済むかのほうが影響します。
職場ごとの違いは介護労働実態調査でも取り上げられています。
まとめ:しんどいのは、あなたの要領のせいではない
委員会がしんどいのは、無給の時間外を前提にして回っているからです。
委員会そのものは、悪いものではありません。
私も教育委員会をやっていたころ、勉強会で現場が変わる瞬間は確かにありました。
それでも、その時間が勤務として扱われないままでいい理由にはなりません。
まずは、今月の委員会に使った時間を書き出すところからで大丈夫です
数字にしてみて、それでも変わらない職場なら、扱いの違う職場を見ておくところから始めれば十分です。
\ 委員会を勤務時間に入れている職場を完全無料で探す /
新人の指導まで抱えて手が回らない方は、コチラの記事で負担の下ろし方をまとめています。










