リハビリ主任の業務とは？役職手当の相場や役割を徹底解説

「来年度から主任をやってほしい」
と言われたけれど、具体的に何をすればいいのかわからないと悩んでいませんか？

リハビリ職における「主任」は、臨床能力だけでなくマネジメント能力も求められる重要なポジションです。

しかし、養成校では教わらない業務ばかりで戸惑うのは当然のこと。

この記事では、リハビリ主任の具体的な業務内容から、誰もがぶつかる「板挟みの壁」の乗り越え方、そして気になる「主任手当・年収」のリアルまでを分かりやすく解説します。

主任という立場を「重荷」ではなく「キャリアアップのチャンス」に変えるためのヒントを持ち帰ってください。

リハビリテーション職における「主任」の立ち位置

リハビリ職で「主任」という役職につくと、とたんに視界が変わります。

これまでは目の前の患者さんに集中していれば良かったのに、急に全体を見るよう求められて、「自分は一体何をすればいいの？」と戸惑うことも多いはずです。

ここでは、組織の中で主任がどのような立ち位置にいるのかを整理しましょう。

組織図で見る「主任」のポジション

一言で言えば、主任は「現場のリーダー」であり「管理職の入り口」です。

組織図で見ると、リハビリ部長や課長の下、そして一般スタッフの上に位置しており、まさに上と下の間に挟まれる「サンドイッチ」の状態ですね。

このポジションの特徴は、 患者さんのリハビリ業務をこなしながら、部分的な管理業務も担います。

大変な位置ですが、現場の声を一番よく知り、かつ上層部の意図も理解できる、チームにとっては非常に重要や役割になります。

具体的には、以下のような役割を期待されることが多いでしょう。

課長（科長）や一般スタッフとの決定的な違い

「主任になったら、全部完璧にやらなきゃ」と気負っていませんか？

でも、課長や一般スタッフとは明確に役割が違うため、ここを区別できれば、肩の荷がスッと下りますよ。

まず、一般スタッフとの違いは「視点の広さ」です。

スタッフは「自分の担当患者さん」や「自分の技術向上」が最優先です。

対して主任は、「チーム全体がうまくいっているか」 後輩が困っていたらフォローし、チームの雰囲気が悪ければ声をかけるのが仕事です。

次に、課長（マネジャー）との違いは「現場への密着度」です。

課長は「部門全体の数字（稼働率など）」や「他部署との折衝」、「採用人事」など、経営に近い判断をするため、現場に出る機会は減り、どうしてもスタッフとの距離は開きます。

一方で主任は、まだガッツリ現場にいますよね。

だからこそ、「課長には言えないけど、主任には相談できる」というスタッフの受け皿になれます。

具体的に何をする？リハビリ主任の「3大業務」

同じ「主任」という立場でも、職場によって任されることは異なりますが、主には以下の3つのことを行うことが多いです。

1. 現場のマネジメント
2. 人材育成・新人指導
3. 他部署・上層部との連携

それぞれ解説していきます。

1. 現場のマネジメント（業務調整・単位数管理）

主任の仕事のメインとも言えるのが、現場の「交通整理」です。

スタッフの欠勤対応や、急な新患さんの担当割り振りなど、その日の業務がスムーズに回るように調整します。

特に重要なのが、「単位数（稼働率）の管理」です。

これは簡単に言えば、リハビリ室全体でどれくらいの利益が出ているかチェックすること。

病院や施設を運営していくためには、避けて通れない数字の話ですね。

ここで大切なのは、「数字だけを追いかけない」こと。

「もっと単位を取って！」と圧をかけるのではなく、「どうすれば効率よく回れるか」を一緒に考える姿勢が、スタッフの信頼につながります。

2. 人材育成・新人指導（クリニカルクラークシップ等）

次は、これからのリハビリ室を支える「人」を育てる仕事です。

新人スタッフや実習生の指導計画を立てたり、悩みを聞いたりします。

また、技術面の指導だけでなく、メンタル面のフォローも主任の大事な役目。

初めての場合、すごく大変かもしれませんが、ここを学んでおくことで、「教育」ができるようになるため、今後にも役立つスキルになります。

3. 他部署・上層部との連携（会議出席・リスク管理）

最後は、リハビリ室の「外」との関わりです。

私たちリハビリ職は専門職ですが、組織の一員として他職種と連携する必要があります。

具体的には以下のような業務があります。

「リハビリ室って頼りになるね」と言われるような関係性を作っていきましょう。

大変ですが、ここが上手くいくとチーム医療の質がグッと上がりますよ！

リハビリ主任が抱えがちな「3つの悩み」と対処法

リハビリ主任に昇格すると、自分の臨床だけを考えていれば良かった頃とは違い、全体を見る役割には特有のストレスがつきものです。

ここでは、多くの新米主任さんが直面する「3つの大きな悩み」と、明日から実践できる具体的な乗り越え方をご紹介します。

「上司の指示」と「現場の不満」の板挟みストレス

中間管理職の宿命とも言えるのが、この強烈な「板挟み」です。

上層部からは「単位数（売り上げ）を増やせ」とプレッシャーをかけられ、現場スタッフに伝えると「これ以上忙しいのは無理！」と反発される。

こんなケースが非常に多いのが現状です。

対処法のカギは、あなたが優秀な「翻訳家」になることです

上司の「数字」の話を、そのまま現場に伝えても反感を買うだけです。

「単位数アップ」を「より多くの患者さんにリハビリを届ける機会」や、「新しい備品を買うための実績作り」など、スタッフにとってのメリット（利益）に変換して伝えるのがコツです。

逆に現場の不満を上に上げる時は、感情論を抜いて「データ」や「事実」に翻訳して伝えましょう。

これだけで、双方の納得感が大きく変わりますよ。

自分の臨床時間が減ることへの葛藤

「管理業務ばかりで、患者さんに触れる時間が減ってしまった…」
「このままだとセラピストとしての腕が落ちるんじゃないか？」

リハビリ職としてプライドを持っている人ほど、この葛藤は深いものです。

しかし、ここは視点を大きく変えるチャンスでもあります。

これまでは「自分が1対1で治す」ことが仕事でしたが、これからは「チームを通じて、より多くの患者さんを良くする」のが仕事になります。

あなたが直接施術できなくても、あなたが育てたスタッフが良いリハビリを提供すれば、結果的にあなたの力で何倍もの患者さんを救っていることになります。

マネジメントもまた、広い意味での「臨床」なんです。

そう考えると、書類作成や会議の時間も少し誇らしく思えてきませんか？

年上の部下や、やる気のないスタッフへの対応

人間関係の悩みは、主任業務の中で最もエネルギーを使う部分かもしれません。

特に、かつての先輩が部下になったり、何度言っても動かないスタッフがいたりすると頭を抱えますよね。

まず、年上の部下に対しては「指示」ではなく「相談」のスタンスを取りましょう。

「〇〇さんの経験から見て、どう思われますか？」と敬意を持って頼ることで、強力な味方になってくれることが多いです。

一方、やる気のないスタッフに対しては、頭ごなしに注意しても逆効果です。

彼らが動かないのには、自信がない、方法が分からないなどの理由が隠れています。

小さな役割を与えて「ありがとう、助かったよ」とフィードバックを繰り返してみてください。

「自分が必要とされている」と感じさせることが、彼らのエンジンを回す一番の近道です。

焦らず、じっくりと関係性を作っていきましょう。

主任の役職手当はいくらアップするの？

主任という立場になると、業務量が増えて責任も重くなるため、いくらくらい給料が上がるか気になる人もいるでしょう。

ここでは、一般的な給料面についての内容と、主任を経験することで、どうキャリアアップにつながるかについても解説します。

気になる「役職手当」の相場と年収目安

ぶっちゃけた話、一番気になるのは「お給料がどれくらい上がるか」ですよね。

職場によっても異なりますが、主任手当の相場はだいたい以下の通りです。

職場によってかなり開きがあるため、一概には言えませんが、大体この程度と言われています。

「責任の割に少ない…」と感じたかもしれません。

確かに、手当の金額だけを見ると、激務に見合わないケースも多いのが現実ですが、主任経験の本当の価値は、目先の手当以上にその経験値にあると言えます。

特に転職を考えたとき、「マネジメント経験あり」という事実は強力な武器になります。

その先のキャリアパス（管理者・訪問リハ・独立）

主任など、マネジメントを経験すると、その時は大変で割に合わないと感じるかもしれませんが、これはその先にあるキャリアを広げるための経験だと思ってください。

しっかりとマネジメントが出来るようになれば、以下のように一気にキャリアを加速させることも可能です。

主任の仕事は大変ですが、その分だけ選択肢は確実に広がります。

今の苦労は、将来「あの時頑張ってよかった」と思える財産に変わるので、自分自身のレベルアップを楽しむ気持ちで取り組んでみてください。

▼転職を考えるなら、こちらの記事を参考にしてください▼

まとめ

ここまで、リハビリ主任の業務内容や役割、そして現場ならではの悩みについて解説してきました。

プレイングマネージャーとしての毎日は、正直なところ「大変」の一言に尽きるかもしれません。

上司と部下の板挟みになり、自分の臨床時間も削られる日々で「自分には荷が重いのではないか」と、不安になる日もあるでしょう。

ですが、あなたが主任として悩み、試行錯誤した経験は決して無駄にはなりません。

最後に、この記事の重要ポイントを振り返っておきましょう。

主任というポジションは、視座を高く持ち、組織全体を見渡せる貴重なチャンスでもあります。

ここで培ったマネジメント能力や調整力は、将来どのようなキャリアを選んだとしても、あなたを支える強力な武器になるはずです。