6月の給与明細を開いたら、手取りが1年目より少なかった。
<悩める人>え、2年目なのに減ってる…?
何か間違えたのかな。
家賃を払って、奨学金が引き落とされたら、残りで1か月やりくりしないといけない。



この給料で、あと十何年も返していくの…?
私のやりくりが下手なのかな。



その気持ち、よくわかります。私は奨学金を合わせて500万円借りて、返し終えたのは35歳でした。PTになって3年目ごろまでは手取り17万円前後から毎月4万円を返していて、いちばんきつかったのは2年目です。
夜間の大学と夜間の理学療法士の専門学校の両方で、日本学生支援機構(JASSO)の利息がつく第二種を借りました。
返済が苦しいのは、借りた額に初任給が追いついていないからです。
この記事では、私が500万円を返し終えるまでにやったことと、払えない月の逃げ道、そして返済をいちばん軽くした理由をお伝えします。
ぜおん
理学療法士14年。不動産会社を経て理学療法士になり、総合病院・老健・介護系会社の4ヶ所で勤務。デイサービスの管理者、老健の主任、教育委員長、介護認定審査員を経験。求人を出す側、面接をする側、辞めていく職員と面談する側にいました。面談のためにメンタルヘルス・マネジメント検定2級と心理カウンセラーも取得しています。
自身の転職は4回、8ヶ所の転職エージェントに登録。リハビリ職・介護職の友人から10人ほどの転職相談を受けています。詳しい経歴はコチラ。
結論:理学療法士の奨学金返済が苦しいのは使い方より借りた額と初任給の差です
給料日前にお金が足りなくなると、つい自分を責めてしまいますよね。
でも、原因はもっと単純です。
借りた額に初任給が追いつかない
PTになるには、大学か専門学校で3〜4年学ばないといけません。
その学費を奨学金でまかなうと、借りる額は数百万円にふくらみます。
私の場合は合わせて500万円で、PTになって最初の給料は手取り17万円でした。
| 項目 | 私の場合 |
|---|---|
| 借りた額 | 500万円 |
| 最初の手取り | 17万円 |
| 1〜3年目の返済 | 月4万円 |
家賃と光熱費とスマホ代を払って、そこから毎月数万円を返していくと、普通に暮らしているだけで余裕がなくなるんです。



無駄づかいを減らせば大丈夫、って言われるんですけど…。



削れるところを削っても、毎月の引き落とし額は1円も変わらないんですよね。
削る前に、借りた額と給料の差がそもそも大きいことを知っておいてほしいんです。
2年目に手取りが下がるのは住民税が引かれ始めるから
2年目の手取りが1年目より下がって驚く人は多いと思います。
よくある理由の1つが住民税です。
- 住民税は前の年の収入にかかる税金
- 学生のうちに収入がなかった人は、入社した年は引かれない
- 2年目の6月から給料からの天引きが始まる
前年まで収入のなかった方が4月に入社した年には、住民税は課税されないため、給与から差し引きされません。新年度から特別徴収となる場合、4月ではなく6月から給与差引きが始まります。
中野区「給与所得者の住民税Q&A」 https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kurashi/zeikin/kyuyomibaraisya/jyuminzei-qa.html
つまり、学生のあいだに収入がなかった人なら、2年目に手取りが下がるのは自然なことです。
給料を減らされたわけでも、あなたが何かを間違えたわけでもありません。
苦しいのは、借りた額に初任給が追いつかないから。学生のあいだに収入がなかった人なら、2年目の手取り減は住民税で自然に起きる。
私が500万円を借りて35歳で返し終えるまで
私が実際にどう借りて、どう返したかです。
夜間の大学で100万円とPTの学校で400万円を借りた
私は高校を卒業したあと、夜間の4年制大学に通い、このときにまず100万円を借りています。
大学を出て一度は不動産会社に就職しましたが、理学療法士を目指して、夜間のPTの専門学校に入り直しました。



大学のあとに、もう一度学校に通ったんですか?



はい。夜に学校へ通う4年間で、最初のうちは昼に派遣で働いていました。この学校の分で、さらに400万円を借りています。
| いつ | 借りた額 |
|---|---|
| 夜間の大学 | 100万円 |
| PTの専門学校 | 400万円 |
| 合計 | 500万円 |
利息のない第一種は、審査の基準などがあって借りられなかったと記憶しています。
第一種には、成績と家計の両方に基準があるんです。
私と同じように、第二種しか選べなかった人も多いと思います。
手取り17万円から毎月4万円が出ていった
PTになったのは29歳のときです。
PTになってから3年目ごろまでは、大学の分とPTの学校の分の返済が重なっていて、毎月4万円を返していました。
手取り17万円から4万円が引かれると、残りは13万円です。



13万円で1か月…。



PTになって最初の1〜2年が、返済はいちばん重かったです。
2年目に手取りが1年目より下がってどうしようと思った
いちばんきつかったのは2年目で、1年目でぎりぎりだったのに、手取りがさらに下がりました。
専門学校の最後の2年はほとんど働いていなかったので、1年目は住民税がほとんど引かれていなかったはずです。
2年目の6月から、それが引かれ始めたんだと思います。



今の私が、まさにそれです…。



私もこのときは正直、奨学金をこのまま返していけるのかと本気で考えました。
いま2年目でしんどいと感じているなら、それはいちばん苦しい時期のど真ん中にいるからです。
このまま今の職場で返し続けられるのか不安なら、ほかの職場の給料を一度見ておくだけでも気持ちが少し楽になります。
登録すると、最初は担当の方から電話がかかってきます。そのあとの求人の提案はLINEやメールでも受けられます。
\ 今の給料が相場どおりか確かめる /
※ PTOT人材バンクの公式サイトに移動します。登録すると担当の方から電話が来ます。
ボーナスが出たら貯めずに返した
私の返し方は、この3つだけでした。
- 毎月2万円ずつは欠かさず返す
- ボーナスなど、まとまったお金が入った月は一気に返す
- 貯金に回すより、先に返すほうを選ぶ
そうやって返し続けて、35歳ごろに全額を返し終えました。
PTになってから、6年ほどで返し終えた計算です。
貯めるより返すほうを選んだ理由は、利息にあります。
借りたのは第二種で合計500万円。PT1〜3年目ごろは月4万円、そのあとは月2万円を基本に、ボーナスの月にまとめて返して35歳で完済。
返せるときは貯めるより先に返したほうがいい理由
私がいちばん伝えたいのは、ここです。
借りている奨学金の種類で答えが変わるので、分けて見ていきます。
利息のある第二種は返す期間が長いほど払う総額が増える
第二種の奨学金には利息がつくので、返す期間が長くなるほど、最終的に払う総額も増えていくんです。
JASSO自身も、はっきりそう書いています。
第二種奨学金については利息の関係で、返還期間が延びると、返還総額が増えることになりますのでご注意ください。
日本学生支援機構「返還期間の変更」 https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan/todokede/henko_kikan.html



利息って、実際いくらくらいになるんですか?



JASSOが例を出しています。借りた額が480万円で、20年かけて返す場合です。
| 利率(年) | 毎月の返済 | 利息の合計 |
|---|---|---|
| 0.5% | 21,069円 | 約26万円 |
| 1.0% | 22,172円 | 約52万円 |
| 2.0% | 24,478円 | 約107万円 |
| 3.0% | 26,914円 | 約166万円 |
利率が3.0%なら、借りた480万円に加えて、利息だけで160万円以上を払う計算です。
しかも、ここ数年で第二種の利率は上がってきました。
| 借り終えた月 | 固定方式の利率(年) |
|---|---|
| 2023年3月 | 0.905% |
| 2024年3月 | 0.940% |
| 2025年3月 | 1.641% |
| 2026年3月 | 2.423% |
いま返し始めたばかりの人ほど、利息は重くなるわけです。
自分の利率は、学校を出るときに届いた返還条件の通知で確かめられます。



利息だけで100万円以上…。
今の給料じゃ、繰り上げるお金なんてないです。



全額を前倒ししなくていいんです。ボーナスが出た月や、少し余った月の分だけでも、その分の利息は減っていきます。
繰上返還ならボーナスの月に一部だけ返せる
先に返すのは、一部だけでもかまいません。
JASSOには、返済の一部だけを前倒しで返す繰上返還という仕組みがあります。
- 口座振替で返していれば、手数料はかからない
- 第二種なら、繰り上げた期間の利子はかからない
- 繰り上げた分だけ返す期間が短くなり、翌月からはいつもどおり
- 申し込みはスカラネット・パーソナルから
毎月続けて繰り上げたいときは、その都度申し込む必要があります。
私がボーナスの月にまとめて返していたのも、この仕組みです。
詳しい手順はJASSOの繰上返還のページで確認できます。
利息のない第一種なら急いで返さなくていい
ここまでの話は、利息のある第二種の場合です。
第一種:利息なし。いつ返しても総額は借りた額と同じ
第二種:利息あり。長く返すほど総額が増える
第一種だけを借りているなら、無理に繰り上げるより手元にお金を残しておくほうが安心だと思います。
生活費まで削って返さない
第二種なら先に返したほうがいい、と書きました。
ただ、手元のお金をすべて返済に回すのはおすすめしません。
- 急な通院や家電の故障で、使えるお金がなくなる
- カードの分割払いなど、奨学金より利息の高いお金に頼ることになりかねない
だから、繰り上げる前に、手元に残しておく額を先に決めておくのが先です。
そのうえで、余った分を返すのが安全でしょう。
第二種なら、手元に残す額を決めたうえで、ボーナスの月に繰上返還する。第一種なら急がなくていい。
今月どうしても払えないときは延滞する前にJASSOへ相談する



繰り上げるどころか、今月の引き落としすら厳しいんですけど…。



そういう月もありますよね。JASSOに連絡するのは気が重いかもしれませんが、延滞する前なら使える制度が2つあります。
減額返還で月々の額を下げる
1つ目は、毎月の返済額を減らせる減額返還です。
- 毎月の返済額を2分の1・3分の1・4分の1・3分の2のどれかに減らせる
- 1回の申し込みで12か月、通算で最長15年まで使える
- 給料で暮らしている人の収入の目安は年収400万円以下
- 申し込む時点で延滞していないことが条件の1つ
年収400万円以下はあくまで目安ですが、延滞する前に申し込むことが条件なので、迷ったら早めに調べておきましょう。



減らした分は、なくなるんですか?



なくなりはしません。そのぶん返す期間が延びますが、JASSOによると第二種の利子の総額は変わりません。
返還予定総額が減額されるわけではありません。返還期間が延長されますが、第二種奨学金の利子の総支払額は変更ありません。
日本学生支援機構「減額返還制度」 https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/gengaku/seido.html
返還期限猶予で一時的に返済を止める
2つ目は、一定の期間だけ返済を待ってもらえる返還期限猶予です。
経済的な事情で返せないときは、通算で10年まで使えます(病気やけがなど、10年の制限がない理由もあります)。



止めている間に、利息が増えたりしませんか?



第二種でも、猶予の間に利息は増えません。ただ、借りたお金や利息がなくなるわけではなく、終わる時期がうしろにずれるだけです。
JASSOも、少しでも返せるなら減額返還のほうをすすめています。
| 制度 | 毎月の返済 | 上限 |
|---|---|---|
| 減額返還 | 減る | 通算15年 |
| 返還期限猶予 | 止まる | 通算10年※ |
猶予の審査の間も引き落としは止まらないので早めに出す



JASSOに連絡するのって、なんだか怖いです…。



申し込みはスカラネット・パーソナルからできるので、電話をかけなくても進められます。ただ、申し込んですぐに使えるわけではありません。
- 猶予の審査の間も、引き落としや払込の通知は止まらない
- 申し込みはスカラネット・パーソナルから
- 減額返還や猶予を使っている間は、繰上返還はできない
なので、払えなくなりそうだと分かった時点で申し込んでおくと、審査を待つ間に慌てずに済みます。
今月が厳しいなら、延滞する前に減額返還を申し込む。少しも返せないときは返還期限猶予。
返済をいちばん軽くしたのは年収を上げたことです
振り返ってみると、私の返済をいちばん軽くしたのは収入のほうでした。
転職するたびに年収を上げてきた
私は手取り17万円、年収にして400万円弱からPTとしてのキャリアを始めました。
周りと比べても、かなり安かったのをはっきり覚えています。
PTになって5年目に、老健へ転職しました。



転職して、返済は楽になりましたか?



なりました。給料もボーナスも上がって、まとめて返しやすくなったんです。そこから35歳ごろの完済まで一気に進みました。
返し終えたあとも転職を重ねて、最後は役職に就いたうえで年収500万円になっています。
出ていくお金を削るより、入ってくるお金を増やすほうが、返済はずっと楽になりました。
同じPTでも職場によって給料の伸び方は違う
同じ理学療法士の資格でも、職場によって給料の伸び方はまるで違います。
私は転職するたびに、給料の決まり方や役職手当の出し方が職場ごとに違うことを感じてきました。



今の職場、何年いても給料がほとんど上がらないんです…。



努力が足りないせいとは限りません。職場の給料の決まり方の問題かもしれません。
昇給しない職場の特徴は、コチラの記事にまとめています。


奨学金を職場が代わりに返してくれる制度もある
もう1つ、知っておいてほしい制度があります。
勤め先が、従業員の奨学金の一部や全部をJASSOに直接払ってくれる奨学金返還支援(代理返還)という制度です。
- JASSOの検索ページに載っているのは2,365社
- そのうち「医療,福祉」の業種は338件(2026年10月13日時点の検索結果)
- 病院や医療法人の名前も並んでいる
ただ、支援の額や、PTが対象になるかどうかは法人ごとに違うので注意してください。
気になる職場があれば、JASSOの制度導入企業等の検索ページで名前を探せます。



今の職場のままで、この先ちゃんと返し終えられるのかな…。



今すぐ辞めなくても大丈夫です。まずは、年収が上がる見込みのある求人がどれくらいあるかを知っておくだけでも判断しやすくなります。
リハビリ職専門の転職エージェントなら、条件に合う求人を並べて見せてもらえます。
最初は担当の方から電話がかかってきますが、そのあとの求人の提案はLINEやメールでも受けられます。どうしても電話が苦手なら、上の記事と検索ページで自分で調べてみてください。
\ 47都道府県の求人から探してもらえる /
※ PTOT人材バンクの公式サイトに移動します。登録すると担当の方から電話が来ます。
理学療法士の奨学金返済でよくある質問
500万円近い奨学金は何年かけて返しますか?
返す年数は借りた総額で決まります。JASSOの例では、480万円を借りた場合は20年(240回)です。実際の回数は、借りた総額によって変わります。
繰上返還に手数料はかかりますか?
口座振替で返している場合は、手数料はかかりません。第二種なら、繰り上げた期間の利子もかかりません。
減額返還を使うと損をしますか?
返す期間は延びますが、JASSOによると第二種の利子の総額は変わりません。延滞してしまうより、早めに申し込むほうが安心です。
繰上返還と減額返還は一緒に使えますか?
使えません。減額返還や返還期限猶予を使っている間は、繰上返還はできません。
奨学金を返している途中で転職しても大丈夫ですか?
返済はJASSOとの約束なので、職場が変わっても毎月の額は変わりません。私も返している途中の5年目に転職して、給料とボーナスが上がりました。転職先に代理返還の制度があるかも見ておくと安心です。
まとめ:理学療法士の奨学金返済は返せるときに返して年収を上げれば軽くなります
500万円の奨学金を35歳で返し終えた立場から、返済が苦しいときの考え方をまとめます。
- 苦しいのは、借りた額に初任給が追いつかないから
- 第二種なら、手元に残す額を決めたうえで返せるときに先に返す
- 払えない月は、延滞する前に減額返還を申し込む
- 返済がいちばん楽になるのは、年収を上げたとき
給料日前にきついのは、あなたのやりくりが下手だからではありません。
今日ひとつだけやるなら、学校を出るときに届いた返還条件の通知で、自分の利率を確かめてみてください。
今の職場で給料が上がる見通しがあるなら、そのまま返し続けて大丈夫です。



何年いても給料がほとんど変わらない職場だったら…?



一度ほかの職場の条件を見ておく価値があります。給料の話は自分からは言い出しにくいので、そこは担当の方に入ってもらうのが早いです。
PTOT人材バンクなら、給与や勤務条件の交渉を担当の方にしてもらえます。
登録すると電話がかかってきます。今の職場で昇給の見通しが立っている方は、登録しなくて大丈夫です。
\ 給与・勤務条件の交渉も任せられる /
※ PTOT人材バンクの公式サイトに移動します。登録すると担当の方から電話が来ます。
PTOT人材バンクを実際に使ってみた感想は、コチラの記事に書いています。











