老健の理学療法士がきついのは甘えじゃない|6つの理由と対処法

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老健のフロアで多くの高齢者と書類に囲まれる理学療法士

担当は30人を超え、一人にかけられるのは20分ほど。

そこへ送迎の添乗と移乗の応援が入り、気づけば計画書が溜まっている。

同期は回復期で経験を積んでいるのに、自分は何をしているのだろうと不安になる。

<悩める人>

老健がきついと感じるのは、私の要領が悪いからでしょうか…?

<ぜおん>

違いますよ。老健のきつさの多くは、介護保険の仕組みと人員体制から生まれる構造の問題です。頑張りの量では解けません。

この記事では、理学療法士が老健をきついと感じる理由を、元リハビリ職で、いまは介護施設で採用や配置をする側にいる視点から解説します。

結論から言うと、老健のきつさは個人の能力ではなく、制度と体制から生まれるものです。

担当人数やリハ職の配置、介護業務の範囲は求人票に出ないため、他の職場と比べたい人には、転職4回で8ヶ所の転職エージェントに登録した私が、最初の1社として最もおすすめできるのがレバウェルリハビリです。

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プロフィール
理学療法士13年経験した「ぜおん」です!
今までに4回の転職経験があり。
詳しいプロフィールはコチラ

【1社目】総合病院▶急性期・回復期・ターミナルを経験。

【2社目】老健▶入所・通所・訪問を経験。介護認定審査員なども務める。

【3社目】介護系有限会社▶介護予防事業の立ち上げ、デイサービスの管理者も兼任。

【4社目】老健▶入職して半年で副主任、1年で主任。施設の教育委員長も務める。

過去に8ヶ所の転職エージェントに登録して、3回転職してます!

厚生労働省の情報を元に情報を発信していきます。

目次

結論:老健のきつさは頑張り不足ではなく体制の問題

老健で働く理学療法士のしんどさは、仕事の量ではなく仕事の形から生まれます

担当が多いのも、リハビリ以外の業務が入るのも、あなたの段取りが悪いからではありません。

「個人の努力で解けるきつさ」と「職場を変えないと解けないきつさ」は別物

この2つを分けないまま我慢すると、解けない問題を自分の責任だと思い込んでしまいます。

そこでこの記事では、きつさの正体を分解してから、今日できる対処と、変えるべきかの判断まで順番に整理していきます。

この章のまとめ

老健のきつさは制度と体制から生まれます。自分で解けるものと解けないものを分けることが、最初の一歩です。

理学療法士が老健をきついと感じる6つの理由

老健PTのしんどさは、大きく6つに分けられます。

自分がどれに当てはまるかを確かめながら読んでみてください。

理学療法士が老健をきついと感じる6つの理由をまとめた図

理由1:担当人数が多く、一人にかけられる時間が短い

老健では、一人の理学療法士が数十人の入所者を受け持つことも珍しくありません

じっくり評価して介入を組み立てたくても、時間が足りず駆け足になります。

「一人ずつ丁寧に見たいのに、時間で区切るしかない」

このやりたい水準と実際の落差が、じわじわ効いてくるタイプの疲れを生みます。

病院なら1日に数人を深く担当できたのに、老健では朝から夕方まで動き続けても一人ずつは短時間で終わります。

働いた量は増えているのに、やり切った感覚だけが減っていくのがこの理由の厄介なところです。

理由2:在宅復帰率という別のプレッシャー

老健は、全国老人保健施設協会の説明にもあるとおり、在宅復帰と在宅療養支援を担う施設です。

そのため、どれだけ自宅へ帰せたかが施設の評価につながります

ところが現場では、歩けるようになっても家族が受け入れられない、住まいが対応できないという事情が普通にあります。

歩行が安定して「これなら自宅でも大丈夫」と判断できても、介護する家族が働いていて日中は無人になる。段差だらけの住まいで、改修の費用も出せない。こうした事情は本人の機能とは無関係に立ちはだかります。

この施設の目標と目の前の現実の板挟みが、数字とは別のしんどさになります。

なお、回復期リハ病棟の実績指数に追われるきつさとは種類が違います。

回復期のきつさはコチラの記事で整理しています。

理由3:リハビリ以外の業務が入り込む

老健では、リハビリの時間以外にも現場の応援を求められる場面があります。

  • 送迎の添乗や乗り降りの介助
  • 移乗やトイレ誘導の応援
  • 食事の見守り、行事やレクの運営

生活場面に関われる利点はあるものの、量が増えるとリハビリの時間そのものが削られます

この線引きについては、後ほど採用する側の本音として詳しく書きます。

理由4:多職種にリハビリの意図が伝わりにくい

老健で働くのは、介護職、看護師、支援相談員、ケアマネジャーなど立場も専門も違う人たちです。

リハビリの意図を説明しても、生活の優先順位が違えば伝わりきりません。

【現場でよくある例】「歩行練習のため自分で歩いてもらってください」と伝えても、忙しい時間帯には車椅子で移動させたほうが早い、という判断になってしまう。

専門職として正しいことを言っているのに動いてもらえない状況は、静かに自信を削ります

ここで効くのは、正しさを繰り返すことではなく相手の忙しさを前提にした伝え方です。

  • 「朝の移乗だけ手すりを使ってもらえると、転倒のリスクが下がります」
  • 「歩行は無理のない範囲で。急ぐ時間帯は車椅子で構いません」

やってほしい場面を絞り、できない時間帯は許容する。

この形にするだけで、依頼の通り方は大きく変わります。

理由5:書類と会議で時間が削られる

リハビリテーション実施計画書、記録、多職種の会議資料など、書き物の量は想像より多いのが老健です。

しかも入所者の入れ替わりがあるため、計画書の作成と見直しが定期的に回ってきます。

  • リハビリテーション実施計画書の作成と定期的な見直し
  • 日々のリハビリ記録と評価の記入
  • 多職種会議やカンファレンスの資料づくり

残業が少ない職場でも、書類だけは持ち帰りになりやすいという声をよく聞きます。

理由6:成果が見えにくく、成長の実感が持てない

老健の対象は、機能がぐんぐん戻る時期を過ぎた方が中心です。

維持できていること自体が成果なのですが、数字で示しにくい成果でもあります。

急性期や回復期の同期と比べて、自分だけ止まっている気がしてしまうのはこのためです。

「転ばずに1年過ごせた」「食事が自分で摂れている」も、立派な成果です

学び直しの機会は職場任せにせず、日本理学療法士協会や都道府県士会の研修で自分から取りにいく手もあります。

生活期のやりがいをどう捉え直すかは、コチラの記事でも掘り下げています。

この章のまとめ

担当人数、在宅復帰、介護業務、多職種、書類、成果の見えにくさ。6つとも、個人の努力の外側にある要因が絡んでいます。

きついのは甘えじゃない|介護保険の仕組みから見た理由

<悩める人>

他の人は普通にこなしています。やっぱり私が弱いだけでは…?

<ぜおん>

いいえ。老健はそもそも、リハビリを増やしても人を増やしにくい仕組みなんです。理由を説明しますね。

病院と老健では、お金の入り方がまったく違います

病院のリハビリは医療保険で、実施した分だけ算定できる出来高の考え方が基本です。

一方の老健は介護保険で、入所者一人あたりの報酬にリハビリを含めて支払われる包括の考え方が基本になります。

この違いが何を生むか
  • リハビリを増やしても、施設の収入は増えにくい
  • だからリハ職を増やす判断がされにくい
  • 結果として、一人あたりの担当人数が増える

つまり、あなたが速く動くほど仕事が増える構造になっているのです。

これは頑張りで解決する種類の問題ではありません。

仕組みが生んだきつさを、個人の責任として引き受ける必要はありません。

この章のまとめ

老健は介護保険の包括報酬で動くため、リハビリを増やしても人員が増えにくい仕組み。担当人数の多さは、あなたの能力とは別の話です。

介護業務はどこまで引き受ける?採用する側の本音

老健PTの悩みで特に多いのが、介護業務をどこまでやるべきかという線引きです。

理学療法士が介護業務をどこまで引き受けるかの線引きの考え方

介護施設で配置を組む側にいる立場から、正直なところを書きます。

まず前提として、施設側はリハ職に悪意で介護業務を振っているわけではありません

私が配置を組むときも、急な欠員が出た日は「動ける人に動いてもらう」判断をします。利用者の安全が最優先だからです。ただ、それが毎日続くなら、それはもう応援ではなく人員設計の失敗です。

ここが線引きの基準になります。

  • 引き受けてよい:その場の安全に直結する対応、生活場面の評価につながる関わり
  • 相談すべき:恒常的な人員の穴埋め、リハビリの時間が削られ続ける状態

大事なのは、断ることではなく職場と基準をすり合わせることです。

伝えるときは、感情ではなく влия事実と提案をセットにすると通りやすくなります。

  • 「今週は応援が◯時間で、計画書が◯件遅れています」
  • 「入浴の時間帯だけ外していただければ、個別リハを◯件確保できます」
  • 「移乗の応援は続けます。その代わり書類の時間を勤務内で確保したいです」
この章のまとめ

単発の応援と恒常的な穴埋めは分けて考えます。断るのではなく、数字と代案を持って基準をすり合わせましょう。

老健で働く理学療法士の給料と働き方の実際

きつさを判断するうえで、待遇が見合っているかも避けて通れません。

まず、理学療法士全体の平均年収を公的データで確認しておきましょう。

理学療法士の平均年収は約444万円(平均年齢35.5歳)。

出典:厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag「理学療法士(PT)」(令和6年賃金構造基本統計調査に基づく) https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/167

これは職場の種類を問わない平均で、老健だから高い、低いと決まっているわけではありません

実際の手取りを左右するのは、次の3つです。

  • 手当の構成:病院の当直手当がない代わりに、介護施設側の処遇改善の仕組みがある
  • 役職の道筋:リハ職が少ないぶん、主任やリハ科長の話が早く回ってくることがある
  • 法人ごとの差:同じ老健でも、母体の法人によって給与テーブルの差が大きい

働き方の面では、夜勤がなく休みの曜日も安定しやすい一方、書類が勤務時間内に収まるかで忙しさの体感が大きく変わります。

老健で働く理学療法士の1日の流れ

忙しさの中身は、時間割にするとかなりはっきり見えてきます

時間帯主な動ききつさが出やすい場面
申し送り、その日の予定確認、集団体操欠員が出ると、この時点で予定が崩れる
午前個別リハビリ、入浴前後の関わり入浴の時間帯と重なり、応援を頼まれやすい
食事の見守り、姿勢や食形態の確認休憩が細切れになりやすい
午後個別リハビリ、家族への説明、多職種の相談面談や会議が入ると個別の時間が削られる
夕方記録、計画書の作成と見直しここが確保できないと持ち帰りになる

この表を見ると、個別リハビリの時間が他の予定に押し出されやすいことが分かります。

逆に言えば、朝の欠員対応と夕方の書類時間さえ守られれば、老健はかなり働きやすい職場にもなります。

この章のまとめ

老健の給与は施設種別ではなく、手当・役職の道筋・法人差で決まります。求人票の額面より、その内訳を確認しましょう。

老健のきつさを軽くする5つの対処法

構造の問題でも、手のつけられる部分は残っています

負担の大きい順ではなく、始めやすい順に並べました。

老健の理学療法士がきつさを軽くする5つの対処法のステップ
  • 担当人数と時間を数字にする:感覚ではなく実数を出すと、相談が「わがまま」ではなくなる
  • リハの目的を介護職の言葉に訳す:専門用語ではなく、その人の生活動作で伝える
  • 書類を溜めない型を作る:雛形と記入の順番を決め、その場で埋める習慣にする
  • 介護業務の線引きを上司と合意する:単発と恒常を分け、代案とセットで提案する
  • 在宅復帰の判断を一人で抱えない:家族や環境の要因は多職種の判断だと位置づけ直す

特に効果が大きいのは、1つ目の数字にするという作業です。

担当が何人で、応援に何時間取られ、書類が何件遅れているか。

この3つが揃うと、上司も具体的な打ち手を検討しやすくなります

今日からできること

まずは1週間だけ、担当人数・応援に使った時間・遅れている書類の件数をメモしてみましょう。相談の材料はそれで揃います。

続ける・職場を変えるの判断基準

対処を試しても変わらないとき、次に考えるのがこの職場に居続けるかどうかです。

老健を続けるか職場を変えるかを判断する基準の図

「老健が嫌」なのか「その老健が嫌」なのかを分ける

ここを混同すると、職種そのものを諦める判断に飛んでしまいます。

同じ老健でも、リハ職が2人の施設と8人の施設では働き方がまるで違います。

介護職が充足していれば応援は減りますし、書類の仕組みが整っていれば持ち帰りも起きません。

体制の違いきつくなりやすい老健働きやすい老健
リハ職の人数1〜2人で相談相手がいない複数名いて役割を分担できる
介護職の充足欠員が常態化し応援が毎日入る応援は急な欠員のときだけ
書類の扱い勤務時間外にやるのが暗黙の了解作成時間が勤務内に組まれている
在宅復帰の判断リハ職が一人で説明責任を負う相談員・ケアマネと分担している

つまり老健というくくりよりも、その施設の体制の差のほうが大きいのです。

職場を変えるなら確認したい5項目

次の職場を見るときは、給与よりも先にこの5つを確認してください。

  • 担当人数:リハ職一人あたり何人を受け持つか
  • リハ職の人数:PT・OT・STが何人いて、相談相手がいるか
  • 介護業務の範囲:送迎や入浴の応援がどのくらいあるか
  • 書類の仕組み:計画書の作成時間が勤務内に確保されているか
  • 在宅復帰の決め方:判断を多職種で分担しているか

ところが困ったことに、この5つはどれも求人票に書かれていません

給与や休日は載っていても、担当人数やリハ職の配置は応募して面接に進むまで分からないのが普通です。

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担当人数やリハ職の配置、介護業務の範囲も、応募前に確認したい条件として伝えられます。

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無料で使えるので、他の施設の条件を眺めて比べてみるだけでも判断材料が増えます。

連絡の取り方も、希望する方法を最初に相談できます。

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エージェント5社の違いから比べたい方は、コチラの記事で比較できます。

この章の注意点

老健というくくりで判断せず、施設ごとの体制を見ましょう。担当人数・リハ職数・介護業務の範囲・書類・在宅復帰の決め方が確認ポイントです。

老健の理学療法士に関するよくある質問

老健で働くと理学療法士のスキルは落ちますか?

急性期のような検査や治療技術に触れる機会は減りますが、生活場面の評価、環境調整、多職種への説明力はむしろ伸びます。落ちるというより、伸びる方向が変わると考えてください。

成長の実感については成果が見えにくく、成長の実感が持てないで解説しています。

新卒で老健に入るのは不利ですか?

不利と決まってはいませんが、指導役が近くにいるかどうかで差が出ます。リハ職の人数が少ない施設では、教わる機会を自分で作る必要があります。

確認すべき点は職場を変えるなら確認したい5項目と同じです。

介護業務の応援は断ってもいいですか?

その場の安全に関わる場面は動いたほうがよく、問題になるのは恒常的な穴埋めになっている場合です。

伝え方の例は介護業務はどこまで引き受ける?採用する側の本音にあります。

老健と特養では、どちらがきついですか?

老健は在宅復帰と入退所の回転による忙しさ、特養は生活支援と看取りに向き合う重さが中心で、種類が違います。

体制の見方は「老健が嫌」なのか「その老健が嫌」なのかを分けるを参考にしてください。

老健から病院に戻ることはできますか?

戻る人はいますし、生活期を見てきた視点は退院支援や地域連携を重視する病院で評価されます。

判断の順番は続ける・職場を変えるの判断基準に戻って考えてみてください。

まとめ:きつさの正体を分ければ、次の一手が決まる

老健のきつさは、あなたの能力ではなく体制から生まれています。

<悩める人>

相談しても変わらなかったら、逃げたことになりませんか?

<ぜおん>

なりませんよ。仕組みが変わらない場所で消耗し続けるより、力を発揮できる体制を選び直すほうが専門職として自然な判断です。

今日できる一歩は、担当人数と応援の時間を1週間メモすることです。

その数字を持って相談しても体制が変わらないなら、職場を選び直す正当な理由になります

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