介護の看取りが辛い理由|対処法を元デイ管理職が解説

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長く担当してきた利用者さんを看取った後、涙が止まらない。家に帰っても「あの時もっと何かできたのでは」と頭から離れない。急変時の対応や家族への声かけまで不安になり、看取りが辛くてたまらない介護職は、決してあなただけではありません。

この記事では、看取りが辛いと感じる理由とその気持ちとの向き合い方を、元理学療法士・デイサービス管理職として介護士さんと一緒に現場を見てきた立場から解説します。

結論から言うと、看取りで辛くなるのは、あなたが弱いからでも向いていないからでもなく、目の前の方に本気で向き合った証です。そして、その辛さは割り切らなくても、ちゃんと整えていけます。

まず伝えたいこと

涙が止まるかどうかで、良い介護職かどうかは決まりません。大切なのは、悲しみを抱えたまま一人で壊れないことです。

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対応職種介護士 / ヘルパー / ケアマネ / 他介護士 / ヘルパー / ケアマネ / 他介護士 / ヘルパー / ケアマネ / 他介護士 / ヘルパー / ケアマネ / 他介護 / 医療 / 福祉 / 保育(50職種以上)介護士 / ヘルパー / ケアマネ
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目次

介護の看取りが辛い理由|あなただけではない

まず整理したいのは、介護の看取りが辛い理由は「利用者さんが亡くなるから」だけではないということです。別れの悲しみに加えて、急変への不安、家族対応、後悔、職場の支援体制まで重なるため、心が大きく揺れます。

介護の看取りとは|最期まで生活を支えるケア

看取り介護とは、回復を目指すケアというより、利用者さんが最期まで尊厳を保ち、安心して過ごせるように生活を支えるケアです。介護職は医療行為をする立場ではありませんが、日々の変化を一番近くで見ている重要な存在です。

看取り介護で行うこと介護職の関わり
生活支援食事・排泄・清潔・体位変換など、最期まで生活を整える
状態変化の観察表情、呼吸、食事量、眠り方などの変化をチームへ共有する
本人への声かけ不安や痛みだけでなく、その人らしさに寄り添う
家族への配慮不安な家族に、日々の様子や本人の穏やかな時間を伝える
多職種連携看護師・ケアマネ・医師・管理者と情報をそろえる

介護職が看取りを辛いと感じる6つの場面

現場で特につらさが出やすいのは、次のような場面です。

辛くなる場面心に起こりやすいこと
長く関わった利用者さんとの別れ悲しみ・喪失感・涙が出る
「もっとできたのでは」と考える後悔や自責感が強くなる
急変や夜勤中の対応が怖い判断への不安、責任の重さを感じる
家族への声かけに迷う何を言えばいいか分からず緊張する
亡くなった後も業務が続く悲しみを処理する時間がない
相談できる人がいない一人で抱えて燃え尽きやすい
研究でも「後悔」「自信のなさ」は多い

東京都健康長寿医療センター研究所の調査でも、看取りケアに消極的になる理由として、後悔への不安、自信のなさ、亡くなる場面を見るつらさ、むなしさが挙げられています。つまり、あなたが感じている辛さは、介護現場でよく起こる自然な反応です。

「辛い」は、ちゃんと向き合った証

利用者さんと過ごした時間が長いほど、その最期は辛く感じます。それは、あなたがその方を一人の人として大切にし、本気で向き合ってきたからです。辛さの大きさは、あなたが注いだ気持ちの大きさでもあります。

デイサービス管理職として、看取りの後にそっと涙を流す介護職や、翌日も気丈に業務へ入ろうとするスタッフを何人も見てきました。その姿はいつも、利用者さんと真剣に向き合ってきた人のものでした。

この章の結論
  • 介護の看取りが辛いのは、別れの悲しみだけでなく、後悔・急変不安・家族対応・職場体制が重なるから
  • 泣くことや引きずることは、介護職に向いていない証拠ではない
  • 辛さを一人で処理せず、チームで振り返れる職場ほど続けやすい

ベテランでも辛い|慣れるより、整え方が上手くなる

よくある誤解現場で大切な考え方
泣くのはプロ失格涙が出るほど向き合った証。失格ではない
経験を積めば平気になる辛さが消えるより、整え方が少しずつ上手くなる
辞めたいと思うのは逃げ限界なら、看取り頻度や支援体制が合わない可能性もある

私自身も元PTとしてターミナル期の方に関わる中で、最期の時間は利用者さんや家族だけでなく、そばで支える職員の心にも深く残るものだと実感してきました。だからこそ、看取り後の気持ちを「仕事だから」と雑に扱わないことが大切です。

看取りが辛い気持ちの正体|グリーフと共感疲労

なぜこんなに辛く、引きずってしまうのか。その正体を知ると、気持ちの整理がしやすくなります。看取りの辛さには、大きく2つの側面があります。

看取り後の辛さをグリーフと共感疲労に分けて整理した図解

グリーフ(悲嘆)|大切な人を失う自然な反応

グリーフとは、大切な存在を失ったときに起こる悲しみや喪失感などの、自然な心の反応のことです。家族を亡くしたときに感じるものと、本質的には同じものです。

介護職は仕事とはいえ、利用者さんと深い時間を共有します。だからこそ、その死にグリーフが起きるのはごく自然なことです。「仕事なのに悲しむなんて」と思う必要はありません

グリーフのときは、眠れない、ふとした瞬間に涙が出る、その方のことを繰り返し思い出して苦しくなる、といった反応が現れます。こうした状態が数日から数週間続くこともありますが、それも自然な経過です。

共感疲労|人を支える人ほど消耗する

もう一つが共感疲労です。これは、苦しむ人に寄り添い続ける対人援助職が、相手の痛みを受け止めるうちに少しずつ消耗していく状態を指します。

人の最期に何度も立ち会う介護や看護の仕事では、共感疲労が積み重なりやすいものです。優しく、よく気がつく人ほど起きやすいとも言われます。あなたの辛さは弱さではなく、人を支える仕事の代償なのです。

共感疲労が積み重なると、やがて燃え尽き(バーンアウト)につながることもあります。がんばりすぎないための考え方は、こちらの記事も参考になります。

辛さは「割り切る」必要はない|気持ちと向き合う方法

「プロなら割り切らないと」と言われたり、自分でもそう思ったりするかもしれません。でも、ここで一番伝えたいのは、無理に割り切らなくていいということです。

「プロは割り切るべき」という思い込みを手放す

割り切ろうとして悲しみを抑え込むと、その感情は消えるのではなく、心の奥にたまっていきます。それが積み重なると、共感疲労や燃え尽きにつながりやすくなります。

大切なのは割り切ることではなく、悲しみをきちんと感じて、少しずつ処理していくことです。泣いてもいいし、引きずってもいい。感じることは、弱さではありません。

悲しみを処理する具体的な方法

抱えた気持ちは、次のような方法で少しずつ整えていけます。

  1. 感情を言葉にして外に出す
    ノートに書いたり、信頼できる同僚や家族に話したりして、胸の中だけにためないようにします。
  2. 「してあげられたこと」に目を向ける
    「もっとできたのでは」と考えがちですが、あなたが関わった時間は確かにその方を支えていました。できたことを一つでも思い出してみてください。
  3. 自分を後回しにしない
    十分に休み、好きなことで心を回復させる時間をとります。自分を満たすことが、次のケアの力になります。

どれも特別なことではありません。悲しみは「消す」のではなく「流れていくのを助ける」イメージを持つと、少し楽になります。

看取り後の悲しみを整える書く話すできたことを見る休む相談するの3ステップ図解

看取り後にやってはいけないこと

反対に、辛さを長引かせやすい行動もあります。次のようなことは、できるだけ避けてください。

  • 一人反省会を何度も繰り返す
  • 「泣くなんてプロ失格」と自分を責める
  • 眠れない・食べられない状態を我慢だけで乗り切ろうとする
<ぜおん>

割り切れない自分を責めないでください。悲しめるのは、優しさがある証拠です。

看取りは一人で抱える問題じゃない|職場とチームの支え

もう一つ大事なことがあります。看取りの辛さは、あなた一人が抱えるべきものではないということです。本来は、チームと職場で支え合うものです。

介護職の看取り後の心の負担を同僚管理者看護師家族ケアマネで支える図解

厚生労働省の「人生会議(ACP)」でも、本人の大切にしたいことを家族や医療・ケアチームで共有することが重視されています。看取りは、介護職一人の気合いではなく、チームで本人らしさを支える関わりとして考える方が自然です。

デスカンファレンス(振り返り)で気持ちを共有する

看取りの後に、関わったスタッフで振り返りを行うことを、デスカンファレンスと呼びます。提供したケアを振り返り、お互いの気持ちを語り合う場です。

「あの関わりでよかったのか」を一人で抱え込まず、チームで共有するだけで、心の負担は大きく変わります。辛さを言葉にして分かち合える場があることが、看取りを続けるうえでとても大切です。

看取りを支える職場・抱えさせる職場の違い

同じ看取りでも、職場の体制によってスタッフの辛さはまるで変わります。次のような違いがあります。

日本緩和医療学会掲載の研究でも、看取りに必要な施設・制度として施設方針や医療職との連携が挙げられ、急変への不安も大きな心配として示されています。だからこそ、看取りの辛さは個人のメンタルだけでなく、職場の方針・学習・連携まで含めて考える必要があります。

支えてくれる職場
  • 看取り後に振り返りや声かけがある
  • 新人を一人で抱えさせない
  • 辛さを話せる雰囲気がある
抱えさせる職場
  • 看取り後も淡々と業務だけが続く
  • 「慣れろ」で済まされてしまう
  • 弱音を言いにくい空気がある

管理職の立場から見ても、看取りの辛さを一人で抱えさせる職場は、体制に課題があります。もし職場に振り返りの場がなければ、信頼できる同僚と二人ででも、気持ちを話す時間をつくってみてください。

職場へ相談するときの言い方
  • 「少し引きずっていて、5分だけ振り返りの時間をもらえますか」
  • 「今回の関わりで迷ったことを、次のケアのために整理したいです」
  • 「新人さんにも同じ辛さが出ると思うので、チームで共有したいです」

それでも辛くて限界なら|立ち直れない・辞めたいとき

ここまでの方法を試しても、どうしても立ち直れない、もう辞めたいと感じることもあるでしょう。その気持ちも、決しておかしなことではありません。

特に、次のようなサインがいくつも続くときは、心が限界に近づいているのかもしれません。

  • 眠れない・食欲がない日が続いている
  • 涙が止まらない、または何も感じられなくなった
  • 仕事に行こうとすると体が重い・動悸がする
  • 以前のように利用者さんに関われなくなった

まずは、十分に休むことです。眠れない・食べられない・涙が止まらない状態が長く続くなら、無理をせず心療内科などに相談することも考えてください。あなたの心が一番大切です。

無理をしない目安

眠れない・食べられない・涙が止まらない状態が2週間以上続く、または出勤前に強い動悸や吐き気が出る場合は、根性で乗り切る段階を超えているかもしれません。職場への相談、休養、医療機関への相談を優先してください。

そのうえで「看取りのある職場が自分には合わないかもしれない」と感じるなら、それは逃げではありません。デイサービスや訪問など、看取りの頻度が異なる職場もあります。自分が壊れてしまう前に環境を選び直すのは、前向きな選択です。

「自分は介護に向いていないのでは」と感じたときの判断基準は、こちらの記事が参考になります。

実際に職場や働き方を変えて、自分らしく働けるようになった人もいます。

介護の看取りの辛さに関するよくある質問

最後に、看取りが辛いと感じる介護職からよく寄せられる質問にお答えしていきます。

利用者さんが亡くなって涙が止まりません。プロ失格でしょうか?

失格ではありません。涙が出るのは、あなたがその方に本気で向き合った証です。むしろ心を動かさずに見送れてしまう方が、ケアとしては心配です。悲しむ自分を責めないでください。

看取りに慣れることはありますか?

「辛くなくなる」という意味では、慣れません。ベテランでも辛さは感じます。変わるのは辛さとの付き合い方で、少しずつ気持ちの整え方が上手くなっていきます。慣れない自分を責める必要はありません。

辛さを引きずって眠れません。どうすればいいですか?

まず気持ちを一人で抱えず、書く・話すなどして外に出してみてください。それでも眠れない・食べられない状態が2週間以上続くなら、無理をせず心療内科などに相談を。あなたの心の回復が最優先です。

看取りが辛くて辞めたいです。逃げでしょうか?

逃げではありません。看取りの頻度は職場によって大きく違います。自分が壊れる前に、合う環境を選び直すのは前向きな判断です。まずは休み、それから次を考えても遅くありません。

まとめ:介護の看取りが辛いのは、あなたが優しい証

介護の看取りが辛いのは、あなたが弱いからではなく、目の前の方に本気で向き合い、その人を大切に思った証です。

本記事では、辛さの正体(グリーフと共感疲労)から、割り切らずに気持ちを整える方法、職場とチームで支える仕組みまでをお伝えしました。大切なのは割り切ることではなく、悲しみを処理し、一人で抱え込まないことです。

本記事のまとめ
  • 看取りが辛いのは、本気で向き合った優しさの証。弱さではない
  • 辛さの正体はグリーフ(悲嘆)と共感疲労。優しい人ほど起きる
  • 割り切らなくていい。書く・話す・できたことに目を向けて処理する
  • 一人で抱えず、チームと職場で支え合う。限界なら無理しない

あなたが注いだ優しさは、利用者さんの最期を確かに支えていました。どうかその優しさを、今度はあなた自身にも向けてあげてください。

<ぜおん>

辛いと感じられるあなたは、きっと良いケアをしています。一人で抱え込まず、まわりを頼ってくださいね。

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