<悩める人>担当している患者さんのことが、どうしても苦手で…。こんなこと思っちゃいけないのかな、と罪悪感があります。



その気持ち、すごくよくわかります!でも、苦手と感じるのはあなたが悪いんじゃないんですよ。OTの仕事の特性上、当然起きることなんです。今日はその理由と対処法を詳しく解説しますね!
「この患者さん、どうしても苦手だ…」
「担当するのがしんどくて、リハビリ室に行くのが憂鬱になってきた..」
「こんなこと思ってしまう自分は、セラピスト失格なのかな?」
作業療法士として働いていると、こんな悩みを抱えることって、実はよくあることなんです。
でも、安心してください。患者さんを苦手と感じるのは、あなたが真剣に仕事に向き合っている証拠です。決して悪いことではありません!
この記事では、作業療法士が患者さんに苦手意識を持ってしまう本当の理由から、タイプ別の具体的な対処法、そして限界が来たときの担当変更の伝え方まで、元管理職を行っていたリハ視点で詳しく解説します。
この記事を読めば、明日からの臨床が少しだけフッと軽くなるはずですよ!
- 担当患者さんに苦手意識を持ち、どう接すればいいか悩んでいる方
- 患者さんからの拒否・暴言・高圧的態度に疲弊している方
- 苦手な患者さんを担当し続けることへの罪悪感・自己嫌悪を感じている方
- 担当変更を検討しているが、言い出せずにいる方


今までに4回の転職経験があり。
詳しいプロフィールはコチラ!
【1社目】総合病院▶急性期・回復期・ターミナルを経験。
【2社目】老健▶入所・通所・訪問を経験。介護認定審査員なども務める。
【3社目】介護系有限会社▶介護予防事業の立ち上げ、デイサービスの管理者も兼任。市とも連携して介護予防事業の普及に尽力。
【4社目】老健▶入職して半年で副主任、1年で主任を任命。施設の教育委員長も務める。
現在フリーランス3年目。PTとは全く違うことで稼いでいます。
作業療法士が患者さんを「苦手」「合わない」と感じるのは当然!


「患者さんを苦手だと思うなんて、プロとしてダメなんじゃないか…」
そんな風に悩むOTさんは本当に多いです。でも、作業療法士が患者さんと合わないと感じるのは、ごく自然なことなんですよ。
理由①:OTの仕事は高度な「感情労働」だから
作業療法士の仕事は、単なる身体機能の訓練だけではありませんよね。患者さんの生活や人生そのものに関わり、モチベーションを引き出し、不安に寄り添うことが求められます。
このように、自分の感情をコントロールして相手に安心感を与える仕事を、社会学では「感情労働(Emotional Labor)」と呼びます。
本来の自分の感情(「イライラする」「悲しい」)を押し殺して、職務としての感情(「笑顔で接する」「受容する」)を作り続けることは、想像以上に心を消耗させます。
苦手だと感じるのは、あなたが冷たいからではなく、「感情のコスト」を支払いすぎて心が悲鳴を上げているサインなんです。
理由②:作業療法は「生活」に深く入り込むから
理学療法(PT)が「歩く」「立つ」といった基本動作にフォーカスするのに対し、作業療法(OT)は「食事」「入浴」「趣味」など、患者さんのパーソナルな生活領域に深く入り込みます。
価値観や生活歴に触れる機会が多い分、患者さんとの価値観のズレを感じやすく、人間関係の摩擦が起きやすいという特徴があります。
「どうしても合わない」と感じる人がいるのは、ある意味でOTの宿命とも言えるかもしれません。
【タイプ別】苦手な患者さんへの具体的な対処法


では、実際に苦手な患者さんに対して、明日からどう接すればいいのでしょうか?
ここでは、よくある「苦手なタイプ」別に、具体的な対処法を解説します!
① 愚痴やマイナス発言ばかりの患者さん
「どうせ治らない」「リハビリなんて意味がない」
こんなネガティブな発言ばかり聞いていると、こちらの気力まで奪われてしまいますよね。
患者さんは何らかの障害を抱えてリハビリを受けているので、不安やつらさを感じているのは当然です。でも、毎回それを受け止め続けるのは、セラピストにとって大きな負担になります。
- 「共感」はしても「同調」はしない:「そう思われるんですね」「お辛いんですね」と受け止めるだけでOK。「そうですよね、治りませんよね」と同調する必要はありません。
- 小さな「できた!」を事実として伝える:「でも、今日は昨日より腕が〇度上がりましたよ」と、客観的な事実だけを淡々と伝えてみましょう。
② 怒りっぽく、高圧的な態度の患者さん
常に上から目線で指示をしてきたり、ちょっとしたことで怒鳴ったりするタイプです。萎縮してしまい、リハビリ室に行くのが憂鬱になりますよね。
高圧的な態度は、「不安」や「孤独」、「自分の体が思い通りにならない苛立ち」の裏返しであることが多いです。
表面的な怒りの言葉に振り回されず、「この人の本当の気持ちは何だろう?」と一歩引いて考えてみることが大切です。
- 行動の裏にある「本当の感情」を想像する:「なぜこの人は怒っているのか」を客観的に分析することで、感情的に反応しにくくなります。
- 毅然とした態度で、プログラムを淡々と進める:感情的にならず、「リハビリの時間なので、今は〇〇の練習をしましょう」とプロとして粛々と対応しましょう。
③ リハビリを激しく拒否する患者さん
部屋に行っても「今日はやらない!」「帰れ!」と拒絶されると、心が折れそうになりますよね。
リハビリ拒否の背景には、身体的な不調(痛み・倦怠感)、精神的な落ち込み、あるいは高次脳機能障害や認知症による理解の困難さなど、さまざまな理由があります。まずはその理由を探ることが先決です。
- 「リハビリ=つらいもの」という認識を変える:最初は訓練を一切せず、世間話をしたり、ただお茶を飲むのを手伝ったりして、「この人は自分を不快にさせない人だ」と認識してもらうことから始めましょう。
- 「選択肢」を提示して、自己決定権を持たせる:「やりますか?」ではなく、「AとB、どちらから始めましょうか?」と聞くことで、拒否を減らせることがあります。
④ 距離感が近すぎる・依存してくる患者さん
過度にプライベートな質問をしてきたり、「あなたじゃないとダメ」と強く依存してきたりするケースです。断り方がわからず、ずるずると関係が続いてしまいがちですよね。
- プロとしての「境界線(バウンダリー)」を引く:プライベートな質問には「秘密です!」と明るくかわし、あくまで「担当の作業療法士」としての立ち位置を崩さないようにしましょう。
- チーム全体で関わる体制を作る:「明日は別のスタッフが担当しますね」と、意図的に他のスタッフを介入させ、特定の個人への依存を分散させることが重要です。
⑤ 暴言・暴力・ハラスメント系の患者さん
これだけは、はっきり言います。暴言・暴力・セクハラは、絶対に我慢しなくていいです!
「患者さんだから仕方ない」「自分が未熟だから」と思い込んで一人で抱え込むのは、最も危険なパターンです。
- 暴言・暴力があった場合は、その場で毅然と「やめてください」と伝える
- 発生した日時・内容を記録し、必ず上司・チームに報告する
- 一人で解決しようとしない。チームで対応策を検討する
限界を感じたら?「担当変更」の正しい判断基準と伝え方





いろいろ試したけれど、やっぱり無理かも…。担当を変えてもらいたいけど、言い出しにくくて。



担当変更を申し出ることは、決して逃げではありませんよ!ちゃんとした理由があれば、上司に相談するのは正しい判断です。伝え方のコツも教えますね。
担当変更を検討すべきサイン
以下のサインが出ている場合は、我慢せずに上司に相談しましょう。
- リハビリ中、患者さんの安全配慮に集中できないほど動揺してしまう
- 患者さんから暴言、暴力、セクハラ(ペイハラ・カスハラ)を受けている
- 休日もその患者さんのことばかり考えてしまい、眠れない・食欲がない
- 苦手意識が強すぎて、リハビリの質が明らかに低下していると感じる
上司への「角が立たない」伝え方のコツ
「Aさんが嫌なので担当を変えてください」と感情的に伝えるのはNGです。「患者さんの不利益になること」を理由にして、論理的に相談しましょう。
【NG例】:「Aさんが怒ってばかりで、もう担当するのが辛いです」(感情だけ)
【OK例】:「Aさんとの関係性構築に難渋しており、私の介入だとリハビリがスムーズに進まず、Aさんの回復に悪影響が出ていると感じています。他のスタッフに交代するか、複数担当制にしていただくことはできないでしょうか?」(課題解決型)
このように「患者さんのため」という視点で相談すれば、上司も「チームとしての課題」として受け止めやすくなりますよ!
自分を守る!燃え尽き(バーンアウト)を防ぐセルフケア習慣


苦手な患者さんとの関わりで心がすり減ってしまったら、しっかりと自分をケアしてあげましょう。
研究でも、OT(作業療法士)はPT(理学療法士)と比較してバーンアウト得点が有意に高いことが示されています。自分のメンタルヘルスを守ることは、患者さんへの質の高いケアを継続するためにも不可欠なんです。
① 感情を「紙に書き出す」
「今日の〇〇さんの発言に腹が立った」「悲しかった」など、自分の感情をノートに書き殴ってみましょう。
頭の中だけでモヤモヤ考えているより、文字にして外に出すことで、客観的に状況を整理でき、心がスッと軽くなります。「どの行動が嫌なのか」「なぜ嫌なのか」を書き出すことで、対処法も見えてきますよ!
② 職場で「戦略的相談」ができる味方を作る
一人で抱え込むのが一番危険です。「愚痴」ではなく「相談」として、先輩や同僚に話をしましょう。
「こんなことで困っているんだけど、〇〇先輩ならどう対応しますか?」と聞くことで、解決の糸口が見つかるだけでなく、「自分は一人じゃない」という安心感が得られます。
③ 職場以外の「サードプレイス」を持つ
医療・福祉の現場は閉鎖的になりがちです。趣味のコミュニティや、他業種の友人など、仕事とは全く関係のない「第3の居場所」を持つことで、視野が広がり、ストレスをリセットしやすくなります。
「仕事の外にも自分の世界がある」という感覚が、職場での苦しさを相対化してくれますよ!
まとめ:苦手な患者さんとの出会いは、あなたの経験値になる
作業療法士が患者さんを「苦手」「合わない」と感じる理由と、その対処法について解説しました。
- 患者さんを苦手と感じるのは、OTが「感情労働」をしている証拠であり、当然のこと
- タイプ別に対処法を変え、患者さんを変えようとするのではなく「自分の関わり方」を変える
- 暴言や暴力、メンタルの限界を感じたら、迷わず上司に相談し、担当変更を検討する
- 自分のメンタルヘルスを守ることは、患者さんへの質の高いケアを続けるためにも必要
苦手な患者さんとの関わりは、本当にエネルギーを使います。でも、その経験で得た「コミュニケーションの引き出し」や「感情マネジメントのスキル」は、今後のセラピスト人生において必ず大きな武器になります。
どうか一人で抱え込まず、チームの力を頼りながら、あなた自身の心も大切にしてあげてください!












